車掌「停車ためらった」 警報音を把握
東京メトロ半蔵門線九段下駅(東京都千代田区)で電車がベビーカーをドアに挟んだまま出発し、ベビーカーが大破した事故で、車掌が駅のホームで異常を知らせる警報音に気付きながら、運行規則に反して緊急停止しなかったことが東京メトロへの取材で分かった。
東京メトロによると、電車は4日午後3時ごろ、ベビーカーの左前輪のつなぎ目部分を挟んだまま発車。ベビーカーは約100メートル引きずられ、ホーム端の柵に衝突した。ベビーカーに子どもは乗っていなかった。
車内の乗客とホームにいた人がそれぞれ非常ベルを押し、駅ホームで警報音が鳴った。運行規則では、車掌は警報音に気づいた場合電車を緊急停止することになっているが、車掌は停止させず、電車は約1分後に次の神保町駅に到着した。
車掌は「停車させることをためらった。ベビーカーに気付かず、車外確認も不十分だった」と説明しているという。車掌は入社2年目で、単独での車掌業務は19日目だった。
石井啓一国土交通相は5日の記者会見で、「一歩間違えれば大事故につながりかねず、大変遺憾だ」と述べ、東京メトロに対し、原因究明と再発防止策を早急にとりまとめるよう指示したことを明らかにした。【島田信幸、内橋寿明】