70万人が行き場失う恐れ
政府が29日にまとめた首都直下地震の応急対策活動計画は、東京、埼玉、千葉、神奈川4都県外から警察など応援部隊計約14万人を派遣することや、備蓄の枯渇が見込まれる発生4日目以降は要請を待たず物資輸送を行うことを盛り込んだ。一方、住民は地震発生時にどんな行動をとるべきかを知り、家庭でも対策を進める必要がある。今後30年間で70%の発生確率とされる首都直下地震。備えるべきことは多い。
想定では帰宅困難者は最大800万人。計画は一斉帰宅の抑制を図るが、一時的な滞在場所の確保は進んでおらず、都内だけでも約70万人が行き場を失う恐れがあるという。
また、被害想定によると、木造住宅など密集市街地の火災で焼失する建物は最大41万棟。火災による死者は、全体の犠牲者2万3000人の7割にあたる1万6000人と想定される。延焼火災が救援活動を妨げる懸念もあり、国は強い揺れを感知すると自動的に電気の流れを止める「感震ブレーカー」の設置を各家庭に呼びかけるが、「自宅だけ設置してもほかの家から出火すれば意味がない」(内閣府)などの理由から、ほとんど普及していないのが実情だ。【狩野智彦】