ぼくはお酒が飲めない。ビールも、ワインも、日本酒も、シャンパンも、飲めない。人からは、つまらない人生だね、と残念がられる。映画にも、お酒はつきものだ。下戸の視点から、お酒がテーマのおすすめ映画を10作品紹介する。
1.カクテル
ジャマイカを舞台に、一獲千金を夢見るバーテンダーが、真実の愛に目覚めるまでを描いた青春ラブストーリー。
- 1988年・恋愛映画/ドラマ・1時間 44分
- 監督:ロジャー・ドナルドソン
- 主演:トム・クルーズ、エリザベス・シュー
この映画で、カクテルを作る人はみんな曲芸をするものだと、誤った認識が植え付けられた。カウンターの向こうでシェーカーを投げて取って、投げて取ってを繰り返すトム。湧く観客。めちゃくちゃ楽しそう。ジャマイカに行ってからは、エリザベス・シューとのラブロマンス。お酒が飲めれば、楽しいことばっかりなんだ、と羨ましくなる。
2.リービング・ラスベガス
監督の実体験を元に、アル中男と娼婦の奇妙な愛の形を描く。ニコラス・ケイジはアカデミー賞主演男優賞を受賞。
カクテルでトム・クルーズとラブラブだったエリザベス・シューのその後だと思うと感慨深い映画。娼婦になった彼女は、アル中のニコラス・ゲイジを愛してしまう。酒を作る男から、酒に溺れる男に。若いころはあんなに楽しそうだったのに、時が過ぎ、酒とのつきあい方を誤るとこんな最期が待っているんだ、と空恐ろしくなる作品。
3.ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!
学生時代のリベンジ、一晩で12軒のはしご酒に挑戦する腐れ縁の5人組。しかし、街は昔と違う。異変が生じていた。
学生時代に飲んだくれて、仲間と馬鹿騒ぎする。ついぞそのような経験ができなかった。本作で主人公たちは、一日12軒の酒場をはしごして、ジョッキ12杯を空けるという。コップ半分で、嘔吐するぼくには無縁の世界。学生時代の仲間とは喫茶店でばかり。酒を飲みながら昔を語り合う、そんなことはできないぁと残念に思ってしまう作品。
4.アンタッチャブル
- 1987年・クライム映画/ドラマ・2時間
- 監督:ブライアン・デ・パルマ
- 主演:ケビン・コスナー、ショーン・コネリー
アメリカでは、1920年から1933年の間(13年10ヶ月19日7時間32分30秒)、アルコールの製造、販売、輸送が禁止された。その時代に生まれていたら、と下戸のぼくは思う。アンタッチャブルが、ロバート・デ・ニーロ扮するアル・カポネを追い詰めるシーンに拍手喝采。しかし、ラストでのケビン・コスナーの発言に、ずっこる。裏切られた気分。
5.欲望のバージニア
映画「アンタッチャブル」が犯罪者を追い詰める映画、であれば、こちらは、追い詰められる犯罪者が主役の映画。立場によって物事に見え方はまったく異なる。ガイ・ピアース扮する捜査官のいやらしさといったらハンパない。ケビン・コスナーが演じたらどうだったのだろうか。「密造を繰り返す悪役」に思わず、感情移入してしまう作品。
6.ハングオーバー!消えた花婿と史上最悪の二日酔い
結婚前の馬鹿騒ぎ。人生最高の夜を楽しんだはずなのに、朝起きると記憶がない。最悪の二日酔いに悩まされる。
- 2009年・コメディ映画/ドラマ・1時間 48分
- 監督:トッド・フィリップス
- 主演:ブラッドリー・クーパー、ザック・ガリフィアナキス
結婚式の前日に馬鹿騒ぎする「バチェラー・パーティー」という文化がない。そして、お酒を飲んで記憶を失うこともない。なので自分にとっては無縁の映画なのだが、どうしてなかなか面白い。しかし、お酒を飲んで記憶がなくなるというのは、本当なのだろうか。もし自分がそうなったらなんて想像もしたくない。映画の中だけにしてほしい。
7.サイドウェイ
人生のピークを過ぎた男は、悪友とワイナリー巡りの旅に出る。魅力的な女性との出会いから、自身を見直すことに。
- 2004年・コメディー映画/ドラマ・2時間 7分
- 監督:アレクサンダー・ペイン
- 主演:ポール・ジアマッティ、トーマス・ヘイデン・チャーチ
奇をてらうことはなく、じっくりと描かれた大人の映画。ただ、いくら落ち込んだからといって、ワインセラー巡りの旅に出るなどと選択肢はなさそうだ。もし、行くなら山梨あたりだろうか。飲酒運転の心配があるから、駅からは、無料のシャトルバスあたりで向かうのがいいだろう。いやいや、お酒が飲めないぼくには無関係な話だ。
8.聖なる酔っぱらいの伝説
フランス・セーヌ河畔の橋の下で生活するホームレスの体験する「奇蹟」を寓話的に描いた幻想的な作品。
酔っぱらいのおじさんが、最期にいろんないいことが起きる。ワインを飲もうと酒場に立ち寄ると、仕事が見つかるってどういうことだろうか。お酒が飲めるとやはり、いいことが起こるのだろうか。いや、彼は過去の過ちから逃げるため、お酒に溺れてしまった経緯があるのだ。お酒は、付き合い方次第。気をつけて気をつけすぎることはない。
9.フライト
機体の故障による墜落の危機を、奇跡的な操縦で免れた機長。しかし、酔っていた彼は、真実と嘘の間で苦悩する。
- 2012年・スリラー映画/ドラマ・2時間 18分
- 監督:ロバート・ゼメキス
- 主演:デンゼル・ワシントン、ドン・チードル
アルコール中毒の主人公が、事故をきっかけに一度は断酒するも、誘惑から逃れられない描写に恐怖を覚える。デンゼル・ワシントンの真に迫った演技に震える。そして、大舞台で、自身が下した決断に涙する。本作は、映画三本分くらいの内容が凝縮された名作だと思う。これこそ、下戸も酒飲みも必見の映画だと思う。機会があればぜひ。
10.ドランクモンキー 酔拳
酔えば酔うほど強くなる、秘伝の拳法「酔八仙」。カンフー道場のドラ息子は、苛酷な修業に励み、会得する物語。
一説によると、ユースケ・サンタマリア、宇崎竜童、堀内孝雄、泉谷しげる、エリック・クラプトン、峰竜太、田中邦衛、村井国夫、水谷豊、植木等、友近、田中裕二、大竹まこと、松村邦洋、ゴルゴ松本、関根勤、浜田幸一、田原総一朗、三谷幸喜、みんなお酒が飲めないらしい。彼らはきっとできないはず、ジャッキー・チェンの酔拳を。
番外編.カサブランカ
- 1942年・恋愛映画/ドラマ・1時間 42分
- 監督:マイケル・カーティス
- 主演:ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン
お酒がテーマではないので番外編として。「君の瞳に乾杯!」で有名。元の英語は「Here's looking at you, kid.」で、Google翻訳にかけると「ここでは子供、あなたを見ています。」とのこと。何が本当か、もう分からない。確実に言えるのは、下戸のぼくは、こんな台詞を一生口にしないということ。もっともお酒が飲めても口にしないが。