配偶者失ったら注意…離婚、死別でリスク高く
離婚や死別で配偶者を失うと脳卒中になるリスクが約3割高まるとする疫学調査結果を、国立がん研究センターと大阪大の研究チームが米医学誌ストローク電子版に発表した。約5万人を15年間追跡した研究成果で、チームは「生活習慣や精神状態の変化が発症リスクを高めている可能性が考えられる」と分析している。
生活変化が影響か
調査対象は、1995年または98年に45〜74歳だった全国8県の男女で、調査開始の5年前に配偶者と同居していた約5万人。調査開始後15年間に、このうち2134人が脳卒中を発症した。
配偶者がいる人に比べ、離婚や死別で途中で配偶者を失った人は男女共に脳卒中を発症するリスクが26%高かった。中でも脳出血のリスクは、男性が48%、女性が35%高まった。子と同居している場合、発症リスクはさらに高かった。チームは、一人親としての苦労が加わることが影響しているとみている。
一方、女性では、配偶者を失って仕事をしていない場合、配偶者がいて仕事をしている場合に比べ、3倍も発症リスクが高かった。配偶者を失い、親と同居している場合も発症リスクは高まった。
チームの本庄かおり大阪大特任教授(社会疫学)は「女性の場合、配偶者を失って経済的に苦しくなることが健康にも影響していると考えられる」と話す。【藤野基文】