地価公示 外国人客の急増受け 商業地8年ぶり上昇
全国の土地の価格を示すことしの「地価公示」では、外国人観光客の急増を受けたホテルや店舗向けの土地需要の高まりなどで「商業地」の地価がプラス0.9%と、8年ぶりに上昇に転じました。
一方、「住宅地」の地価はマイナス0.2%でしたが、下落率は6年連続で縮小し、都市部では住宅地の値上がりが広がっています。
一方、「住宅地」の地価はマイナス0.2%でしたが、下落率は6年連続で縮小し、都市部では住宅地の値上がりが広がっています。
「地価公示」は国土交通省が1月1日時点で調査した土地の価格で、ことしは全国2万5200余りの地点が対象となりました。
今回の特徴は、「商業地」の地価の全国平均が去年と比べ0.9%の上昇と、リーマンショック前の平成20年1月以来、8年ぶりに値上がりに転じたことです。
「商業地」の地価の値上がりは都市部で著しく、▽東京、大阪、名古屋の「3大都市圏」では2.9%の上昇、▽札幌、仙台、広島、福岡の「地方中枢都市」では「3大都市圏」を上回る5.7%の上昇となりました。
これは、外国人観光客の急増でホテルや店舗向けの土地の需要が高まっていること、また、大規模な金融緩和で大量の資金が供給されていることで法人の投資家などが資金を調達しやすくなりそのお金が不動産市場に流れ込んでいることなどが、主な要因です。
一方、「住宅地」の地価の全国平均は、去年と比べ0.2%の下落となりましたが、下落率は6年連続で縮小しました。
ただ、都市部では住宅地の値上がりが広がっていて、「3大都市圏」は0.5%の上昇でした。
このうち「東京23区」は2.8%の上昇で、中央区は9.7%、千代田区は9.4%と、都心部ではマンション需要などもあって高い伸びを示しました。
また、「地方中枢都市」は2.3%の上昇でした。
このように都市部で地価の上昇が一段と進んだ一方、「3大都市圏」と「地方中枢都市」を除いた「地方」は平均で、住宅地が1%、商業地が1.3%値下がりし、住宅地は21年、商業地は24年連続の下落となり、地価は二極化の傾向が続いています。
今回の特徴は、「商業地」の地価の全国平均が去年と比べ0.9%の上昇と、リーマンショック前の平成20年1月以来、8年ぶりに値上がりに転じたことです。
「商業地」の地価の値上がりは都市部で著しく、▽東京、大阪、名古屋の「3大都市圏」では2.9%の上昇、▽札幌、仙台、広島、福岡の「地方中枢都市」では「3大都市圏」を上回る5.7%の上昇となりました。
これは、外国人観光客の急増でホテルや店舗向けの土地の需要が高まっていること、また、大規模な金融緩和で大量の資金が供給されていることで法人の投資家などが資金を調達しやすくなりそのお金が不動産市場に流れ込んでいることなどが、主な要因です。
一方、「住宅地」の地価の全国平均は、去年と比べ0.2%の下落となりましたが、下落率は6年連続で縮小しました。
ただ、都市部では住宅地の値上がりが広がっていて、「3大都市圏」は0.5%の上昇でした。
このうち「東京23区」は2.8%の上昇で、中央区は9.7%、千代田区は9.4%と、都心部ではマンション需要などもあって高い伸びを示しました。
また、「地方中枢都市」は2.3%の上昇でした。
このように都市部で地価の上昇が一段と進んだ一方、「3大都市圏」と「地方中枢都市」を除いた「地方」は平均で、住宅地が1%、商業地が1.3%値下がりし、住宅地は21年、商業地は24年連続の下落となり、地価は二極化の傾向が続いています。
全国の主な上昇地点
<住宅地>
全国の住宅地で地価の上昇率が最も高かったのは、「北海道倶知安町旭」で、去年より19.7%上昇しました。
スキーリゾートとして知られるニセコ地区にあるこの地域では、外国人から別荘地としての需要が高く、地価の押し上げにつながっているということです。住宅地では、同じく北海道の札幌市でマンション需要の増加などを受けた地価の上昇が著しく、「札幌市中央区大通西」で去年よりも15.9%上昇するなど、住宅地の上昇率の上位10の地点のうち7地点を北海道が占めました。
このほか、東京電力福島第一原子力発電所の事故で避難している人たちの住宅需要を背景に、福島県いわき市が上位10の地点に2地点入りました。
<商業地>
一方、全国の商業地で地価の上昇率が最も高かったのは、「大阪市中央区心斎橋筋2丁目」で、去年よりも45.1%上昇しました。大阪市の中心部では、外国人観光客の急増を受けたホテルや店舗向けの土地の需要の高まりが地価を押し上げ、今回、上昇率の上位10の地点のうち6地点を大阪市が占めました。全国で最も地価が高かったのは、「東京・銀座4丁目」の山野楽器銀座本店で、1平方メートル当たり4010万円となり、調査地点となった平成14年以降、最も高くなりました。
全国の住宅地で地価の上昇率が最も高かったのは、「北海道倶知安町旭」で、去年より19.7%上昇しました。
スキーリゾートとして知られるニセコ地区にあるこの地域では、外国人から別荘地としての需要が高く、地価の押し上げにつながっているということです。住宅地では、同じく北海道の札幌市でマンション需要の増加などを受けた地価の上昇が著しく、「札幌市中央区大通西」で去年よりも15.9%上昇するなど、住宅地の上昇率の上位10の地点のうち7地点を北海道が占めました。
このほか、東京電力福島第一原子力発電所の事故で避難している人たちの住宅需要を背景に、福島県いわき市が上位10の地点に2地点入りました。
<商業地>
一方、全国の商業地で地価の上昇率が最も高かったのは、「大阪市中央区心斎橋筋2丁目」で、去年よりも45.1%上昇しました。大阪市の中心部では、外国人観光客の急増を受けたホテルや店舗向けの土地の需要の高まりが地価を押し上げ、今回、上昇率の上位10の地点のうち6地点を大阪市が占めました。全国で最も地価が高かったのは、「東京・銀座4丁目」の山野楽器銀座本店で、1平方メートル当たり4010万円となり、調査地点となった平成14年以降、最も高くなりました。
専門家「地価は二極化が進む」
今回の地価公示について、東京カンテイの井出武上席主任研究員は、「ことしの地価は去年と同様に二極化が進んでいる。大都市圏では、景況感の回復を背景に、ビル需要や居住ニーズの高まりで地価は非常に高い水準になっている。また、都市の再開発が行われるなど人を集める力のある地方の中枢都市でも地価の上昇傾向がはっきりと出た。一方、再開発や大型の商業施設の出店があまり見られない地方都市では、地価は低調に推移している」と分析しています。
そのうえで、今後の見通しについては「人口が減少するなか、地域に住んでもらうだけでなく多くの人たちを呼び込みお金を落としてもらうといったことが重要になってくる。居住者や消費者を奪い合う都市間の競争が激しくなっていて、人を効果的に集めることができるような都市の強化に成功するところと、そうでないところで差が広がっていく」と話しています。
そのうえで、今後の見通しについては「人口が減少するなか、地域に住んでもらうだけでなく多くの人たちを呼び込みお金を落としてもらうといったことが重要になってくる。居住者や消費者を奪い合う都市間の競争が激しくなっていて、人を効果的に集めることができるような都市の強化に成功するところと、そうでないところで差が広がっていく」と話しています。
東京圏は3年連続上昇
関東南部を中心とする「東京圏」は、住宅地、商業地ともに3年連続の上昇となりました。
それによりますと、東京、神奈川、埼玉、千葉、それに茨城の各都県の市街地を対象とした「東京圏」の地価の平均は、去年に比べて、住宅地が0.6%、商業地が2.7%それぞれ上昇し、いずれも3年連続の上昇となりました。
各都県の住宅地は、東京都が1.6%、千葉県が0.2%、神奈川県が0.1%、去年に比べて上昇し、いずれも3年連続で上昇しました。
一方、埼玉県は0.0%と横ばいで、茨城県と栃木県は1.2%、群馬県は1.0%それぞれ下がりましたが、下落率はいずれも前の年より0.5ポイント前後縮小しています。住宅地のうち、東京・千代田区や中央区、それに港区の東京の都心部などでは、高級賃貸マンションなどの利用が好調で、最大で10%を超える大幅な伸びが続いています。
商業地では、東京都が4.1%と去年を上回る高い伸びとなったほか、神奈川県が1.4%、千葉県が0.9%、埼玉県が0.7%、それぞれ去年より上昇しました。一方、茨城県は1.6%、栃木県は1.3%、群馬県は1.2%それぞれ去年と比べて下がりましたが、下落率はいずれも縮小しました。
商業地では、外国人観光客の増加などから、東京・中央区や港区などで家賃の大幅な上昇が目立ち、中央区銀座4丁目では1平方メートルの公示価格が4000万円余りと、去年より18.6%上がり、この地点で調査を開始した平成14年以降で最も高くなりました。
それによりますと、東京、神奈川、埼玉、千葉、それに茨城の各都県の市街地を対象とした「東京圏」の地価の平均は、去年に比べて、住宅地が0.6%、商業地が2.7%それぞれ上昇し、いずれも3年連続の上昇となりました。
各都県の住宅地は、東京都が1.6%、千葉県が0.2%、神奈川県が0.1%、去年に比べて上昇し、いずれも3年連続で上昇しました。
一方、埼玉県は0.0%と横ばいで、茨城県と栃木県は1.2%、群馬県は1.0%それぞれ下がりましたが、下落率はいずれも前の年より0.5ポイント前後縮小しています。住宅地のうち、東京・千代田区や中央区、それに港区の東京の都心部などでは、高級賃貸マンションなどの利用が好調で、最大で10%を超える大幅な伸びが続いています。
商業地では、東京都が4.1%と去年を上回る高い伸びとなったほか、神奈川県が1.4%、千葉県が0.9%、埼玉県が0.7%、それぞれ去年より上昇しました。一方、茨城県は1.6%、栃木県は1.3%、群馬県は1.2%それぞれ去年と比べて下がりましたが、下落率はいずれも縮小しました。
商業地では、外国人観光客の増加などから、東京・中央区や港区などで家賃の大幅な上昇が目立ち、中央区銀座4丁目では1平方メートルの公示価格が4000万円余りと、去年より18.6%上がり、この地点で調査を開始した平成14年以降で最も高くなりました。
商業地の上昇率1位は大阪
大阪府内では1670地点が調査対象になっています。大阪の平均の地価は、住宅地は去年と同じでしたが、商業地が4.2%上昇し3年連続でプラスとなりました。
このうち、大阪・ミナミの中央区心斎橋筋2丁目「旧ヤマハ心斎橋店」は45.1%値上がりし、上昇率が全国で最も大きくなりました。
次いで、大阪・中央区道頓堀1丁目の「づぼらや」が全国で2番目に大きい40.1%となるなど、地価の上昇率が大きかった全国の上位10の地点のうち、6地点を大阪市内が占めました。これは外国人旅行者の急増で、商業ビルの店舗の売り上げが増えて賃料が上昇していることや、ホテルの建設ラッシュが続いていることなどが主な要因です。
一方、住宅地は大阪市内の中心部でマンションの建設が相次いだことなどから、大阪・天王寺区上汐4丁目が10.1%と最も高く、次いで大阪北区紅梅町が7.9%の上昇となりました。
また1平方メートル当たりの地価が最も高かったのは、商業地はJR大阪駅北側にある大阪・北区大深町の「グランフロント大阪南館」が170万円値上がりして1180万円、住宅地は、上昇率が最も大きかった大阪・天王寺区上汐4丁目が5万5000円値上がりし、59万8000円でした。
大阪の地価を押し上げているのは、外国人旅行者の急増です。
大阪観光局によりますと、去年1年間に大阪府内に宿泊した外国人の観光客は、のべ934万人に上り、東京都の1778万人に次いで全国2番目に多くなっています。これは、前の年に比べて314万人、率にして1.5倍の増加となります。
また、観光庁が発表した宿泊旅行統計調査の速報値によりますと、去年1年間のホテルなど宿泊施設の稼働率は大阪府が85.2%に達し、2年連続で全国で最も高くなりました。このため、大阪の中心部ではホテルなどの建設が相次いで計画されていて、地価を押し上げる大きな要因となっています。
このうち、大阪・ミナミの中央区心斎橋筋2丁目「旧ヤマハ心斎橋店」は45.1%値上がりし、上昇率が全国で最も大きくなりました。
次いで、大阪・中央区道頓堀1丁目の「づぼらや」が全国で2番目に大きい40.1%となるなど、地価の上昇率が大きかった全国の上位10の地点のうち、6地点を大阪市内が占めました。これは外国人旅行者の急増で、商業ビルの店舗の売り上げが増えて賃料が上昇していることや、ホテルの建設ラッシュが続いていることなどが主な要因です。
一方、住宅地は大阪市内の中心部でマンションの建設が相次いだことなどから、大阪・天王寺区上汐4丁目が10.1%と最も高く、次いで大阪北区紅梅町が7.9%の上昇となりました。
また1平方メートル当たりの地価が最も高かったのは、商業地はJR大阪駅北側にある大阪・北区大深町の「グランフロント大阪南館」が170万円値上がりして1180万円、住宅地は、上昇率が最も大きかった大阪・天王寺区上汐4丁目が5万5000円値上がりし、59万8000円でした。
大阪の地価を押し上げているのは、外国人旅行者の急増です。
大阪観光局によりますと、去年1年間に大阪府内に宿泊した外国人の観光客は、のべ934万人に上り、東京都の1778万人に次いで全国2番目に多くなっています。これは、前の年に比べて314万人、率にして1.5倍の増加となります。
また、観光庁が発表した宿泊旅行統計調査の速報値によりますと、去年1年間のホテルなど宿泊施設の稼働率は大阪府が85.2%に達し、2年連続で全国で最も高くなりました。このため、大阪の中心部ではホテルなどの建設が相次いで計画されていて、地価を押し上げる大きな要因となっています。