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【寝台特急「カシオペア」】
札幌に向け最後の旅路 「車窓から一生忘れられない星空を」 万感の思い込めた汽笛、上野駅に鳴り響く
26日の北海道新幹線開業に伴い廃止される豪華寝台特急「カシオペア」(上野-札幌)が19日、引退の日を迎え、札幌行きの最終列車が東京のJR上野駅を出発した。「お疲れさまでした!」「ありがとう!」。ホームには約2000人の鉄道ファンらが詰めかけ、カメラを頭上高く掲げながら約19時間に及ぶ最後の旅路に出る列車を見送った。上りの最終列車は20日に札幌駅を出発し、上野駅に21日午前9時25分に到着する。
午後3時35分、シルバーに赤や青、黄色などのストライプをまとったオール2階建てのカシオペアが、13番線ホームに姿を現すと、集まったファンらの歓声とカメラのシャッター音がこだました。気象条件の厳しい北海道の風雪に耐えてきた車両は丁寧に整備され、有終の美を飾るように光り輝いていた。
午後4時20分。演歌歌手、井沢八郎さん(1937~2007年)のヒット曲「あゝ上野駅」の発車メロディーが流れ出す。高度成長期に集団就職で上京し、上野駅に降り立った若者たちの心の支えになってきた「北の玄関口」を代表する名曲だ。