細沢礼輝、中田絢子
2016年3月19日19時02分
北海道と本州を結ぶ豪華寝台特急として人気を集めてきた「カシオペア」(上野―札幌)の下り最終便が19日、JR上野駅を出発した。ホームに約2千人が詰めかけ、北の大地へ向かうラストランを見送った。
午後3時半すぎ、機関車に引かれた銀色の客車がゆっくりと13番ホームに入ってきた。群馬県高崎市の会社員、吉岡守さん(58)は「最後と聞いて乗りに来た」。これまで2回乗っているといい、「新幹線のように速くはないが、旅情があるところがいい」。
妻と乗り込んだ千葉市の会社員男性(55)は「景色を眺めながらくつろいで行ける。我々の世代にとって残して欲しい列車」と話した。午後4時20分、列車がホームを離れると、ファンからは「ありがとう」と声が上がった。
カシオペアは全室個室タイプの豪華寝台列車として1999年に登場。展望コーナーを備えたスイートは予約の取りにくい「プラチナチケット」として知られた。全体の乗車率も8割を維持してきたが、北海道新幹線開業に伴い、現行の機関車が青函トンネルを走れなくなることを理由に定期運行を取りやめることになった。
上り最終便は20日夕に札幌を出発する折り返し列車。今後、JR東日本は周遊列車として活用するとともに、JR貨物が開発した新型機関車を借りてツアー専用列車として再び北海道に乗り入れることも検討している。(細沢礼輝、中田絢子)
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朝日新聞社会部
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