英会話には、大きく分けて「スピーチ型」と「日常コミュニケーション型」の2つがあります。スピーチ型というのは、特定の話題について話す会話で、これには質疑応答の入ったもの、つまりディスカッションなども含みます。
日常コミュニケーション型というのは、日々の生活や仕事をこなすのに必要なコミュニケーションのための会話で、日常会話もしくは社会生活会話とでも言うべきものです。
もちろん、この2つは全く別の会話という訳ではなく、話の中で混ざることがよくあります。例えば、だれかと簡単なあいさつをしているうちに、時事の出来事や趣味などの会話になって、気が付くとかなり長話しをしていたという経験はだれにでもあるはずです。
さて、では、この2つのうち、みなさんはどちらがやさしいと思いますか?
答えは、圧倒的にスピーチ型です。一般には、スピーチというとかなり高度に感じられ、日常会話の方がやさしいと思われがちですが、実際には逆です。なぜかというと、スピーチ型の会話の場合には、テーマ(話す内容)が決まっているので先の展開が読みやすく、“頭の準備”ができるからです。
また、質問を振られても、バックグランドの知識がしっかりしているので、多少詰まることがあっても、取りあえずは答えることができます。同じ理由で、リスニングについても、多少聞き取れない点があっても、足りない部分を知識で補って理解できます。図解するとつぎのような感じになります。
この図の矢印の中に、点線のものがあるのに気付いたでしょうか。ここが、英語の語彙や表現が不足していて聞き取れないところです。しかし、このような場合でも、日本語で「知識」として情報を持っていると、“バックグランド”で話をつなげて会話を続けることができます。日本語を活用することにはいくつかの大きな利点がありますが、これもその1つなのです。
ネイティブに教えることさえできる!
このようなわけで、スピーチ型の会話は学習の方法さえ間違えなければ、だれでも確実に身に付けることができます。私自身の経験をお話しすると、私はリスニングの「リ」の字もないような時代に英語を勉強しましたので、実用英語の学習方法が全く分からず、英検1級のパブリック・スピーチに合格するまでは大変苦労しました。
しかし、コツをつかんだ後は、自分の興味のある分野については特に大きな問題もなく話せるようになり、ネイティブに「勉強になった」と感謝されたこともありました。「あなた」も(テストは少し脇に置いて)自分の興味のある分野、得意な分野から攻めるようにすると、短期間で同じことができるようになります(※)。
スピーキング・テスト対策はこうする!
最近は、スピーキング・テストの需要が高まっているせいか、“対策方法”について聞かれることが多いのですが、テストの場合に注意するべき点は、まず(当たり前ですが)出題される傾向のあるテーマに合わせて素材を選ぶということ、そして、つぎに普段以上にしっかりと日本語を活用し、頭をフルに起動した状態にするということです。テストでは、自分の興味のある分野や、得意な分野が出題されるとは限りませんので。
あとは、徹底的に音声を真似て、口に出して練習します。ちょっと気を抜くと、電車の中でも思わず口から英語が出てしまう・・・そのぐらいになれば合格です。
質疑応答については、予想される質問と答をできるだけたくさん作って、実践さながらに練習します。
これをいくつかの英文について行っていると、英文の中の語彙や表現だけでなく、例えば、What do you think about ~? (~ついてどう思いますか?)とか、Where do you stand on this issue? (この問題について、あなたはどういう立場ですか?)のように、質問のパターンについても慣れていきますので、会話力が総合的に伸びていきます(※)。
なぜ日常会話は難しい?
さて、スピーチ型の会話は、このようにテーマを絞り、“完全没入方式”で攻めるとかなり短期間で成果を出していくことができるのですが、頭の痛いのは、もう一方の方、つまり日常コミュニケーション型(日常会話)です。
私自身も、ここで大きくつまずきました。はじめは、日常的な表現なのだから難しくないだろうなどとタカをくくっていたのですが、本格的にやり出すと、とんでもなくやっかいな代物であることに気付いたのです。
どうして日常会話は難しいのでしょうか。それは、スピーチ型の会話の場合には、上記のように、はじめから一定の枠組みがあって、その枠の中で話せば良いのに対して、日常会話にはそういった枠組みが全く無く、「何が飛び出すか分からない」からです。
次回は、この辺りについてお話ししたいと思います。
英語に関する限り、私たちの能力は30%程度しか引き出されていません。これはとても残念なことです。このコラムでは、どうすれば残りの70%の能力を発揮できるかについて、日本語を活用するという手法を中心にさまざまな観点からお話ししていきます。
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