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この作品「にんげんのいきのこり」は「永井頼人」「SIREN10users入り」等のタグがつけられた作品です。

母胎が地上を奪還した世界のその後。1/14 ×闇鍋 ⚪︎夜見鍋でした2/...

にんげんのいきのこり

カニ兎

2014年1月13日 16:08

母胎が地上を奪還した世界のその後。

1/14 ×闇鍋 ⚪︎夜見鍋でした

2/12 コメントありがとうございます……！！励みになります！

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目を開けると、赤い空に黒い太陽が輝いていた。

うごめく黒い奴ら、そのうちの一人が永井を指差し怯えた声をあげて後ずさり、周りの奴らも悲鳴をあげて永井から距離を取る。

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！」

長く尾を引く絶叫とともにばら撒いた弾丸で、一体何人が倒れただろう。

そらから　　こわいかいぶつが　おちてきた
かいぶつは　ぜつめつしたはずの
にんげんの　いきのこり

それなのに。

「ナガイー、ラーメン食べようぜーハハハ」

ーーなんだよコレ。

かつて自衛隊の仲間だった闇人だけでなく、島の住人だった奴らまで永井に群がってくる。
遊ぼう、食べよう、海へ連れてけ、鬼ごっこしたい、いや隠れんぼだ、などなど。

「ナガイ、これ私の赤ちゃん」
「あーかわいいかわいい」

乳母車を押して赤ん坊の闇霊を見せにくる奴までいる。

「ナガイがかわいいって言ってくれた」
「ナガイ、私の赤ちゃんもかわいいよ」

永井の周りに乳母車を押した闇人が押し寄せてくる。

最初は、近づいてくる奴らを全員撃っていた。
弾が尽きて逃げ出し、黒い太陽の下をひたすら逃げ、疲れ果てて座り込み、気を失った。
ーー気がついたら、闇人の社宅に寝かされていた。

「起きたぁ……」

台所に立っていた闇人の、黒い着物の端から迷彩服がちらりと見えた。
永井はぎょっとして布団を跳ねのけて後ずさった。

「永井が起きたぁ……」

カサカサと不気味な動きで近寄ってくるそいつに反射で銃を向け、弾がないことを思い出した。

「来るなァア！」

叫びながら銃剣を振り回す。

闇人はカサカサと後ずさって永井の攻撃を避け、台所に戻った。

「これ食べなよ永井ぃ……」

そう言って闇人が永井の近くに置いたのは、具材がやけに大きな一人用の鍋だった。

「なんだよ、これ……」
「夜見鍋だよぅ……おいしいよぅ……」

彼は永井のほうに鍋をぐいっと押しやり、「食べろよぉ……」と言ってにやにやする。

「毒じゃねえだろうな」
「ただの鍋だよぅ……」
「おまえが先に食べろよ」
「……わかったよぅ」

闇人はにやにやしながら煮崩れたニンジンを指でつまみ、ひょいと口に入れた。

「おいしいよぅ……出汁がきいてるよぅ」

もぐもぐと動く黒く汚れた口元を見ているうちに、生きていたこいつらと隊の食堂で食事していたことを思い出した。

「……じゃあ、いただきます」

永井は箸をとり、シイタケから食べ始めた。

闇人たちが永井を恐れなくなったのはそれからだった。

あぐらをかいた永井の膝には今も左右に一匹ずつ闇霊が乗り、遊べ構えともじもじしている。

たった一人、人間の生き残り。

こんな未来が待っているのだったら。

ーー永井、俺だよ俺。
ーーなーがいくーん、一緒に遊びましょー。

二人の上官を思い出し、永井は小さく唇を噛んだ。

目を開けると、赤い空に黒い太陽が輝いていた。

うごめく黒い奴ら、そのうちの一人が永井を指差し怯えた声をあげて後ずさり、周りの奴らも悲鳴をあげて永井から距離を取る。

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！」

長く尾を引く絶叫とともにばら撒いた弾丸で、一体何人が倒れただろう。

そらから　　こわいかいぶつが　おちてきた
かいぶつは　ぜつめつしたはずの
にんげんの　いきのこり

それなのに。

「ナガイー、ラーメン食べようぜーハハハ」

ーーなんだよコレ。

かつて自衛隊の仲間だった闇人だけでなく、島の住人だった奴らまで永井に群がってくる。
遊ぼう、食べよう、海へ連れてけ、鬼ごっこしたい、いや隠れんぼだ、などなど。

「ナガイ、これ私の赤ちゃん」
「あーかわいいかわいい」

乳母車を押して赤ん坊の闇霊を見せにくる奴までいる。

「ナガイがかわいいって言ってくれた」
「ナガイ、私の赤ちゃんもかわいいよ」

永井の周りに乳母車を押した闇人が押し寄せてくる。

最初は、近づいてくる奴らを全員撃っていた。
弾が尽きて逃げ出し、黒い太陽の下をひたすら逃げ、疲れ果てて座り込み、気を失った。
ーー気がついたら、闇人の社宅に寝かされていた。

「起きたぁ……」

台所に立っていた闇人の、黒い着物の端から迷彩服がちらりと見えた。
永井はぎょっとして布団を跳ねのけて後ずさった。

「永井が起きたぁ……」

カサカサと不気味な動きで近寄ってくるそいつに反射で銃を向け、弾がないことを思い出した。

「来るなァア！」

叫びながら銃剣を振り回す。

闇人はカサカサと後ずさって永井の攻撃を避け、台所に戻った。

「これ食べなよ永井ぃ……」

そう言って闇人が永井の近くに置いたのは、具材がやけに大きな一人用の鍋だった。

「なんだよ、これ……」
「夜見鍋だよぅ……おいしいよぅ……」

彼は永井のほうに鍋をぐいっと押しやり、「食べろよぉ……」と言ってにやにやする。

「毒じゃねえだろうな」
「ただの鍋だよぅ……」
「おまえが先に食べろよ」
「……わかったよぅ」

闇人はにやにやしながら煮崩れたニンジンを指でつまみ、ひょいと口に入れた。

「おいしいよぅ……出汁がきいてるよぅ」

もぐもぐと動く黒く汚れた口元を見ているうちに、生きていたこいつらと隊の食堂で食事していたことを思い出した。

「……じゃあ、いただきます」

永井は箸をとり、シイタケから食べ始めた。

闇人たちが永井を恐れなくなったのはそれからだった。

あぐらをかいた永井の膝には今も左右に一匹ずつ闇霊が乗り、遊べ構えともじもじしている。

たった一人、人間の生き残り。

こんな未来が待っているのだったら。

ーー永井、俺だよ俺。
ーーなーがいくーん、一緒に遊びましょー。

二人の上官を思い出し、永井は小さく唇を噛んだ。

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