雑談とは通常、ほとんど意識せずに「する」ものであって、記録したり鑑賞したり読んだりするものではない。適当にして、したという意識もないままに消えて無くなるのが雑談である。
だから、わざわざ雑談を本にするという例は少ないし、昨今はますます本が売れなくなっているという風潮もあって、雑談の効用や利点を説いた本は多くなっているようだが、雑談そのものを記録したような類の本はもともと少ないし、今後はもっと減りそうである。
また、偉い人のご高説を拝聴する類のインタビューや、馴れ合い発言の応酬に過ぎない対談、目的や話題の決まりすぎた対話などを省くと、純粋に無目的で、無計画で、無軌道で、良くも悪くも、あまり役に立たないような雑談の本は限られてくる。
すぐに思い浮かぶのは細野晴臣、電気グルーヴ、星野源などミュージシャン関係の本である。
雑談は、口と言語を楽器としたセッションのようなものだと考えれば、この傾向にも納得が行く。
他にはタイトルに「雑談」が入っている著書が何冊かある小沢昭一関係。
あるいは昔のSF作家の雑談集など。
他にも探せばチラホラ出てきそうに思える。気長に探索しながら、時々このブログで紹介してみたい。
思うに雑談の本はどれも「ユーモアのある本」に該当するので、「ユーモアのある本」の中の区分の一つとして捉えてもよいかも知れない。