【ニューヨーク=稲井創一】米中堅石油会社のベノコは18日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。約10億ドル(約1100億円)の債務を減らし、規模を縮小して再建を目指す。足元で原油価格は回復基調にあるが、利益をあげるにはなお厳しい水準。利払いに窮するシェール企業も出ており、米エネルギー業界では企業破綻が増えそうだ。
ベノコは主に海上での油田開発を手掛け、カリフォルニア州沖に権益を持つ。「将来を考え、ここで借金を減らしバランスシートを再構築することを決めた」(マーク・デピュー最高経営責任者=CEO)。米メディアによると、ベノコは今年2月16日を期限とする1370万ドルの利払いができずに資金繰りに追われていた。
金利負担は経営体力に乏しいシェール企業にも重荷になっている。今月8日にはシェール中堅のグッドリッチ・ペトロリアムが利払いの延期を決めた。増資による資金調達で生き残りの道を探っている。
18日に米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが発表した米国の石油掘削リグの稼働数は、前週末比1基増の387基と13週ぶりに増加した。足元では原油先物の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が1バレル40ドルを回復しており、一部の優良鉱区では開発が再開されているとみられる。
原油価格が回復すれば即座にシェール企業が増産に動くことを示している。原油供給の過剰改善にはなお時間がかかる見通しで、中小のエネルギー企業は厳しい状況が続きそうだ。