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「拘束」映像…シリア、アルカイダ系か

安田純平さんと名乗る男性が映し出された動画=フェイスブックより

 【カイロ秋山信一】昨年6月下旬に内戦下のシリアに入国した後、行方不明になっているフリージャーナリスト、安田純平さん(42)を名乗る男性の映像が16日、インターネット上で確認された。映像を投稿したトルコ在住のシリア人(30)は毎日新聞の電話取材に「男性は安田さんだ」と証言。安田さんは国際テロ組織アルカイダ系の「ヌスラ戦線」に「拘束されている」と説明し、ヌスラ戦線側が身代金を求めていることを示唆した。

 動画は約1分間。安田さんとみられる男性は髪やひげを伸ばし、黒っぽいセーターやマフラーを着用していた。机の上のメモを見ながら英語でメッセージを読み上げており、発言を強要された可能性が高い。

 男性は「今日は私の誕生日、3月16日だ」と切り出し、家族に向けて「愛している。みんなを抱き締めたいが、もうできない」「42年間の人生は、おおむね順調だった」などと話しかけた。誕生日や年齢は安田さんと一致していた。

 さらに男性は「私の国に対して言いたい。暗い部屋で痛みに苦しんでいるのに、誰も反応してくれない」と話した。日本政府の対応を求めた発言とみられる。男性が置かれた状況は不明だ。

 映像を投稿したシリア人は取材に「安田さんの解放交渉に関与しているヌスラ戦線関係者から入手した」と説明。ヌスラ戦線側は当初、映像を15万ドル(約1700万円)で日本メディアなどに売ろうとしたが、買い手がつかず、解放交渉の端緒として日本政府などに安田さんの安否を知らせるために映像の公開に同意したという。

 安田さんの友人でジャーナリストの常岡浩介さん(46)によると、安田さんは昨年6月23日、取材のためトルコ南部アンタクヤからシリア北西部イドリブ県に越境した。検問所の通過は困難だったため、密入国したとみられる。同日未明、安田さんから「いまシリアです。すげえ疲れた」とインターネットを通じ文字メッセージが届いたのを最後に音信が途絶えた。7月初旬、「武装勢力に拘束されたらしい」との連絡がガイド役の周辺の人物からあったという。

 イドリブ県は昨年春以降、ヌスラ戦線と反体制派武装勢力で構成される「ファトフ軍」が実効支配している。安田さんを拘束しているのはヌスラ戦線とは別の反体制武装勢力との情報もある。

 シリア北部では昨年1月、フリージャーナリストの後藤健二さん(当時47歳)と湯川遥菜さん(当時42歳)が過激派組織「イスラム国」(IS)に殺害された。2012年8月にはフリージャーナリストの山本美香さん(当時45歳)が北部アレッポ県で取材中に銃撃され、死亡している。

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