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もしも今季がアーセン・ヴェンゲルのアーセナルでの最後のシーズンとなるのなら、それはゆっくりと訪れる、痛みを伴う死になるだろう。

アーセナルは日曜のFAカップ準々決勝で、ワトフォードにホームで1-2と敗れた。ガナーズの歴史的なFAカップ3連覇の可能性が消えた瞬間だった。

後半、ワトフォードのオディオン・イガロとアドレヌ・ゲディウラが勝利を呼び込むゴールを決めて、アーセナルのシーズンは脅威にさらされた。そして、ヴェンゲルは深く暗い淵をのぞいている。

このようなパフォーマンスが披露されたのは、自身の擁護に「飽きた」とヴェンゲルが発言し、いら立つ様子を見せた週の日曜日だった。アーセナルの要求高いファンを満足させるかは、神のみぞ知る。指揮官は、そう主張した。

だが、クラブと選手たちのマンネリ感は、間違いなく監督が原因である。平凡な考えでは、平均的な結果にしかつながらない。心地よさは、慢心を生む。

腐敗は止めねばならず、それが意味するところはシーズン終了後の監督交代である。ヴェンゲルはこの11年間でFAカップを2度制したのみで、2004年以降はリーグタイトルを逃し続けている。その間、自身の不満を明らかにするサポーターの数は増えていっている。

この試合、ヴェンゲルはメスト・エジルやアレクシス・サンチェスといったスター選手を含めた、力のあるメンバーを選出した。だが、選手たちは指揮官を落胆させたのみで、北ロンドンのクラブには困惑が積み重なるばかりだった。

交代出場したダニー・ウェルベックの終盤の一撃も、おなじみとなったブーイングを止めるには不十分だった。試合終了の笛にホームのサポーターのブーイングが重なり、その責任はアーセナルが負うほかなかった。

ガナーズはボールを支配したが、フィニッシュのまずさとひどい守備の罰を受けた。これまでも見慣れた光景だった。

モハメド・エルネニとジョエル・キャンベルは、前線での“主犯”だった。この2人が前半にチャンスを逃し、ウェルベックも口を開けていた最後に追いつく機会もふいにした。

アーセナルがスクランブルの様子を見せたのは、1-2というスコアで迎えた最後の数分だけだった。それまでのアーセナルは、ワトフォードの堅い守備を崩すアイディアがまったくない様子だった。

それでは、あまりに遅すぎた。アーセナルのシーズンは、1週間のうちに事実上の終了を迎える可能性がある。

もはや伝統的となったチャンピオンズリーグ(CL)のベスト16での敗退は、水曜にカンプ・ノウで臨むバルセロナ戦で確定するはずだ。続く土曜日のプレミアリーグでのエヴァートン戦は、もはや勝ち点を落とす余裕はないと知りながら迎えることになる。

アーセナルは現在、リーグ首位のレスター・シティを勝ち点8差で追っている。優勝のために必要な勢いに乗っていけると想像するのは、どうにも難しい。何しろ全公式戦を通じて、ここ7試合で1勝しかしていないのだ。

またしても、アーセナルのシーズンは春の時点でおしまいになろうとしている。1カ月前、エミレーツ・スタジアムでレスターを2-1で破ったときには、輝かしい未来が待っているように見えたのに。

ヴェンゲルの時間は、刻々と少なくなっていく。今回ばかりは退任を逃れる道はないと、誰もが感じていることだろう。

文/グレッグ・ストバート

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