関西圏では「神戸=お洒落な街」というイメージが根付いているものの、担当の藤田氏によれば、首都圏をはじめとする関西圏以外では「神戸ブランド」の力は、以前に比べ弱まってきているという。
神戸を訪れる観光客は、日帰り観光で大阪や京都などに宿泊するケースが多く、経済波及効果が少ない。しかも、関西圏からの観光客が圧倒的に多く、首都圏からの観光客はわずか5.8%に過ぎない。こうしたことに対し、“強い観光都市”を目指す神戸市としては危機感を持っていた。
そこで、首都圏在住者のなかで「神戸旅行を思い立ったが断念した人」や「神戸旅行を思い立たなかった人」といった“潜在旅行者”を対象に誘致活動を進めた。まず、5万人の生活者へのインターネット調査およびソーシャル上の口コミ分析を実施。あわせて、神戸市観光情報サイト「Feel KOBE」閲覧者のデモグラフィック属性や閲覧履歴などをDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を用いて分析した。さらに、この分析結果とスマートフォンの基地局ベースの位置情報とを組み合わせ、神戸旅行者の行動を詳細に把握した。
こうした分析から、ターゲット属性を6つのセグメントに分類。1セグメント3種類、合計18のバナー広告を作成し、DSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)で配信した。これをさらにDMPで分析し、反応の高かった6分類を抽出し、その分類ごとに宿泊旅行へと誘導する動画を6種類作成し配信した。
DMP分析で見えてきた属性を6つのセグメントに分け、1セグメント3種類合計18個のバナーを作成しDSPで広告配信をおこなった。その結果、反応が強くなる属性とクリエイティブが違うことが判明した。その傾向を活かして2015年2月には、上記赤枠の6種類の宿泊誘導する動画を作成した。「女性20代オシャレミーハー層」セグメントでは「ワンランク上の神戸旅」と「ちょっと気取った神戸食い倒れ旅」とでは、後者が一見サイトへの遷移数などでは勝っていたが、宿泊ページの閲覧率では前者が圧倒的な数値となるなど、日帰り観光と宿泊観光で反応が違うことが分かった。
こうした取り組みの結果、神戸市内の宿泊観光客数に増加が見られた。また、FeelKOBEスマートフォン版での位置情報と連動した検索・訪問履歴を組み合わせ、より適切に本質的な魅力を伝えるための研究を進めている。
神戸市産業振興局観光コンベンション部 観光コンベンション課 インバンド・神戸市観光プロモーション担当係長 藤田修司氏
こちらの記事は、2016年2月3日に発刊された「デジタルマーケティング年鑑2016」(宣伝会議・刊)より一部抜粋しました。事例をご覧になりたい方に向けた書籍です。
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