【敷金返還】満額取り戻すために必要な基礎知識と具体的手段

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敷金を返還する方法をお探しですか? もしくは、お部屋の退去時、敷金って本当に返ってくるの? と心配になっている方も多いと思います。

基本的に、ふつうの生活を送り、あなたの責任でお部屋に大きな損害が無い場合は、借り主に修繕義務は発生しません。敷金は戻ってくるものです。

しかし、敷金の仕組みを理解しておかないと、大家や不動産業者主導で話を進められてしまい、本来ならば支払い義務の生じない金額を敷金にあてられてしまうケース、さらには敷金だけでは足りないとさらに修繕費用を請求してくるケースもあります。

もし、そんなケースに遭遇してしまい、敷金が戻ってこなかった場合も諦める必要はありません。この記事で取り上げている通りの手続きを行えば、敷金を取り戻すことは十分可能です!

ここでは、部屋を退去する際に敷金をしっかりと返還してもらうための基礎知識を解説します。思わぬ落とし穴にハマらず、返ってくるはずの敷金をしっかり確保するためにも、敷金に関する知識を正確につけておきましょう。

1.そもそも「敷金」とは?

賃貸物件を借りる際に必ず目にするのが「敷金」という言葉。不動産屋さんの店頭には「敷金◯ヶ月分」や「敷金無料」といった言葉が並んでいます。

敷金とは、部屋に住むにあたって大家さんに一端預けておくお金。入居者の過失により部屋の修繕が必要な場合や、家賃滞納などが合った場合にそこから差し引きされるなど、大家さんからしてみれば保険のようなものです。

確かに、大家さんは見ず知らずの人に部屋を貸すのですから、保険として、敷金を預かっておき、万が一に備えるのです。

入居時に支払ったら戻ってこない礼金や不動産屋に支払う仲介手数料とは異なり、綺麗に部屋を使用していれば、退去時にそのほとんどを返還される可能性が高いのが、敷金なのです。

※関西地方では敷金を「保証金」と呼ぶこともありますが、内容は同じです。

2.敷金返還のために注意すべきこと

国土交通省による「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常使用による部屋の劣化や汚損の修繕費・清掃費は、基本的に大家さんが負担するものであると明記されています

そのため、普通の生活を送っていれば、敷金は基本的に全額返還されます。

しかし、不動産屋や大家さん主導で話を進められてしまうと、通常使用の劣化や汚損にも関わらず、部屋のクリーニング費や修繕費として、退去時に大家さんから請求があり、本当は返還されるはずだった敷金から差し引かれてしまう場合も起こり得ます。

そうならないために、入居前と退去時にそれぞれ注意すべきことを解説します。

出典 国土交通省による「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(pdfファイル)

出典 原状回復をめぐるトラブルとガイドラインを超解説 – 第八行政書士事務所

2-1. 敷金返還のために注意すべきこと【入居時編】

2-1-1.契約書をよく読み、特約に注意!

入居時の契約書は、面倒くさがらずしっかりと読み込んでおきましょう。実は「通常の生活での劣化や汚損は敷金全額返金」という原則の例外として、契約書に「特約」を記している場合があるのです。

例えば、「退去後のハウスクリーニング代は敷金から差し引く」など、入居者の負担が増えてしまう特約が付いているケースが多いようです。

契約書の特約は、大家さんに有利に書かれているものもあります。しっかりと読み込み、疑問点は不動産屋の営業マンに質問し、すべて納得の上で契約しましょう。

2-1-2.入居時にお部屋をよくチェック!

入居時の部屋の状況は念入りにチェックしておきましょう。入居前からあるキズや見た目は、できれば写真として残し、退去時に証拠として見せられるようにしておけばベストです。

また、内見時にチェックリストを持参している場合はしっかり記入しておきましょう。こちらも退去時のチェック時に証拠として活用できます。内見用のチェックリストはサイト内記事「【チェックリスト付】内見時に必ず確認すべきこと全32項目」でダウンロードできますので、ご活用ください。

2-1-3.入居者の義務はしっかり守る!

入居者には、「善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)」といって、部屋を綺麗に保つ義務があります。日常的な掃除を怠った結果による部屋の汚れなどは「不注意、管理・使用方法が悪い結果」として「入居者負担」と判断されてしまいます。

つまり、部屋を綺麗に保ちながら生活することは、敷金を取り戻すための義務であるということを、しっかりと心にとどめておきましょう。

3.敷金返還のために注意すべきこと【退去時編】

3-1.自分の過失が無いか、チェック

敷金から差し引かれるかどうかの基準はたったひとつ。自分の故意や過失による劣化や汚損が無いかどうか、です。単純明白ですが、次項でその基準や要点をしっかり抑えておきましょう。

3-2.故意・過失かどうかの判断

〜床編〜

<故意・過失になってしまう例>

  • ×イスのキャスターや重い家具による、フローリングのへこみやキズ
  • ×カーペットへ飲食物をこぼした際に出来た、シミやカビ(通常の掃除で綺麗にならないもの)
  • ×タバコの焦げ跡
  • ×家具の移動などによる、畳やフローリングへのキズ

<負担しなくていい例>

  • ◯畳の表裏替え
  • ◯日光や雨漏りによる畳の変色
  • ◯フローリングのワックスがけ
  • ◯家具によるカーペットの跡やへこみ

〜壁・天井編〜

<故意・過失になってしまう例>

  • ×壁や天井のくぎ穴、ネジ穴
  • ×タバコによる重度の壁や天井の変色
  • ×キッチンの壁や天井の、油汚れ
  • ×クーラー水漏れの放置による、壁や天井の腐敗(クーラーが備え付けでも×)
  • ×ペットがつけたキズ

<負担しなくていい例>

  • ◯テレビや冷蔵庫の後ろの黒ずみ
  • ◯日光による壁の変色
  • ◯ポスター、絵画による日焼け跡
  • ◯ポスター等を止めた画鋲の穴
  • ◯軽度の壁や天井の変色(通常のクリーニングで清掃できる範囲)
  • ◯エアコン設置による壁の穴(設置時に要相談)
  • ◯手垢などによる汚れ
  • ◯経年による壁紙剥がれ

〜ガラス・窓編〜

<故意・過失になってしまう例>

  • ×災害など以外でのガラスの破損
  • ×網戸や障子の破れ

<負担しなくていい例>

  • ◯地震などの自然災害によるガラスの破損
  • ◯日光による網戸の変色

〜キッチン・水回り編〜

<故意・過失になってしまう例>

  • ×風呂やトイレの、水垢や汚れ
  • ×キッチンの油汚れ

<負担しなくていい例>

  • ◯キッチン・風呂・トイレの消毒・消臭
  • ◯通常使用による排水詰まりと、漏水

〜その他〜

<故意・過失になってしまう例>

  • ×鍵紛失による鍵交換

<負担しなくていい例>

  • ◯通常使用による鍵交換
  • ◯退去時のハウスクリーニング費用

3-3.退去時のチェックには必ず立会い!

原状回復にかかる費用の見積もりは、退去時にチェックされます。退去後に、大家さんが確認し見積もる場合もありますが、退去時チェックには必ず入居者本人も立ち会いたいところです。

そうすれば、例えば経年劣化なのか故意のものか判断が難しい場合は、その場で主張できますし、自分のいないところでチェックされ不当な請求をされてしまうことも予防できます。

3-4.好印象を与える!

部屋の退去時、元通り新品の部屋にすることは難しいですが、適度な掃除をしておくことで、退去の立会い時に大家さんに好印象を与えることが出来ます。

通常レベルでの掃除、不要品・ゴミの始末はもちろん、細かい傷などの修復、追加した設備の撤去など、退去前に自分の力で綺麗にできるところはなるべく掃除をしましょう。

また、汚れが激しいと思われがちな水回り(キッチン、洗面所、トイレ、風呂)を綺麗にしておくことで、部屋全体の印象も更に良くなるようです。

4.敷金を自力で満額返還させる手続き方法

ここまで解説したポイントをクリアしているにも関わらず、実際の敷金返還は大家さんの判断となるため、自分では判断ができません。

どうしても納得のいかない修繕費やクリーニング費が請求されてしまった場合には、以下の手続き方法で敷金返還のために抗議をおこないましょう。

4-1.請求内容を確認する

まずは、請求された内容を細かくチェックしましょう。自分が入居時に支払った敷金が、どのようなことに使われているかを確認するのです。相場より高いクリーニング費や、自分の過失ではない部分への修繕費など、納得のいかない項目があれば大家さんに疑問をぶつけましょう。

中には、クリーニング業者や修繕業者と手を組んで、高い費用を請求してくる悪質な大家さんもいるようなので、「そういうものなのかな?」と都合よく納得してしまわないよう注意が必要です。

4-2.大家さんと直接交渉

請求内容を確認後、大家さんや管理会社に直接交渉を行いましょう。まずは電話やメールで納得の行かない項目を主張します。

例えば、経年劣化に分類されるべき「日光による壁の変色」による壁紙の全面張替えの費用が敷金から引かれていた場合も、「国土交通省のガイドラインによると、貸主側で負担するものである」と主張し、この分の修繕費を差し引かないように要求するのです。

4-3.敷金返還請求の内容証明郵便を送る

話し合いでの解決が難しい場合、内容証明郵便と呼ばれる書類を送付し、敷金返還を促します。

内容証明郵便とは、「誰が、誰に、いつ、どんな内容の手紙を送ったのか」ということを、郵便局が公的に証明してくれる書類です。

大家さんや管理会社の場合、このような事例に関する法的知識は当然持っているため、中途半端な知識や理由では容易には敷金返還に応じてこないでしょう。しっかりと理論武装をした文書で、相手側にも応じざるをえないと思わせるような内容を心がけた内容にするのがベストです。

内容としては…

・賃貸借契約締結と敷金差し入れの事実について
⇒契約相手(大家さん、管理会社)の名前や物件名、契約締結の事実の記載(賃貸借契約書の情報と合わせる)

・賃貸借契約の終了と敷金返還額の見積書の送付について
⇒契約終了の事実記載と、敷金返還額の見積書を受け取った日時

・入居者側が追うべき費用について
⇒相手の主張で、ガイドラインに反しているポイントを書き出す

・入居者側が請求する金額
⇒入居者側の口座への振込依頼と、期限内に請求金額を支払わない場合には少額訴訟を行う旨

を、最低限記載します。

以下のサイトに、敷金返還請求の内容の一例が掲載されていますので、参考にしてください。

敷金返還請求書/内容証明net
内容証明文例:敷金返還請求 – 井藤行政書士事務所

また、内容証明郵便の送り方については、「日本郵便のウェブサイトの内容証明ページ」に差出方法や料金など詳しく書かれていますので、併せてご確認ください。

4-4.少額訴訟で敷金を返還させる

少額訴訟とは、請求金額が60万円以下の場合に限って、短期間で簡単に手続きができる裁判です。

通常の裁判では費用や時間がかかり、敷金が返還されても割に合わない場合がありますが、少額訴訟では訴状提出から1〜2ヶ月で審理され、原則1回で判決が出るので、少ないリスクで敷金を取り戻すことが出来るのです。

少額訴訟の流れや解説は裁判所のウェブサイト「裁判所|これから少額訴訟を利用しようとする方へ」を参考にしてください。

敷金返還請求の書式と記載例は「裁判所|敷金返還請求」からダウンロードすることができます。

4-5.入居時の契約書に不利な記載があった場合

敷金返還のトラブルになった場合、入居時の契約書の内容を元に話し合いを行います。入居時の契約書は、大家さんに有利な契約内容になっていることも多く、それを盾に敷金返還を拒んでくるのですが、このような場合でも、契約内容が明らかに入居者側に不利な内容であれば、上記のような少額訴訟により覆せる可能性は十分にあります。

費用が高額な場合やどうしても諦めきれない場合は諦めず、少額訴訟に踏み切ってみましょう。

敷金返還請求完了しました」というサイトに、敷金返還トラブルによる少額訴訟で実際に敷金を取り返すまでの過程が事細かに書かれています。参考にしてみてください。

5.まとめ

敷金返還は、黙っていると大家さんや管理会社側のペースで進められてしまい、戻ってくるはずの敷金を不当に奪われてしまいます。

敷金は満額で返還されれば、数万円から数十万円。戻ってくるか来ないかは、今後の生活においてもとても重要です。

知識が無く泣き寝入りしてしまうことのないよう、この記事の内容を参考に、冷静に対処すれば、きっとあなたの敷金はしっかりと返還されるでしょう。

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