文・木村朗子(津田塾大学教授)
東日本大震災から5年が過ぎようとしている。被災地のニュースはよほど注意深く追っていないと入ってこなくなったし、少なくとも東京あたりではほとんど話題にのぼらなくなっている。
記憶が薄れたといっても、震災を扱った小説を読めば、あの日の衝撃、あの日から考えたことがすぐにも甦ってくる。震災を描く文学は、記憶がうすれかけたこれからが出番だと思う。以下、震災を主題とする小説作品、「震災後文学」の最新おススメ本を紹介する。
被災地発の物語は、共同体の記憶を残す
震災後4年が過ぎて、ようやく被災地発の小説が現れた。総勢12人の岩手県出身の作家による震災をテーマにした小説を揃えた短編アンソロジー『あの日から―東日本大震災鎮魂岩手県出身作家短編集』(岩手日報社2015)である。
震災直後にも岩手県の作家たちは『12の贈り物 東日本大震災支援 岩手県在住作家自選短編集』(荒蝦夷刊2011)を刊行している。ただしこれは既発表作品をまとめたもので、印税を「義損金」とすることを目的とした出版だった。
『あの日から』の編者・道又力のあとがきによると、「東日本大震災は、岩手の作家に深刻な影響を及ぼした」という。
〈 非常の際にあっては、文学など何の役にも立たないと思い知らされたためである。作家の中には一時期、小説をまったく書けなくなった者もいた。
あれから四年が過ぎた。
作家は小説を書くことで、現実と向き合うしかない。そこで『12の贈り物』の続編として、岩手出身の作家による、震災を扱った短編集を企画したのである。 〉
この短編集のなかからいくつかの作品を紹介しよう。
-
「地震保険」入るべきか、やめるべきか ~巨大地震は必ず来る。見直すなら今だ!(2015.07.18)
-
「年金」がどんどん溶けていく 〜責任逃れの素人集団に「運用」を頼んだ覚えはない!(2016.03.01)
-
首都直下巨大地震の確率急上昇!これは絶対に来る! 東京46%横浜78%埼玉51%。いますぐ逃げたほうがいい(2015.01.11)
-
芥川賞作家・本谷有希子が描き出す「人でなし」の魅惑と恐怖(2016.02.11)
-
いま日本の火山はどうなっているか 〜東日本大震災と火山活動活発化の関係は?(2015.09.11)
- サラバ社畜人生!40歳で大企業を辞めた男たちが教える「稼ぐ思考法」(2016.03.04)
- 作家たちは「3.11」をどう描いてきたのか 〜「震災後文学」最新作を一挙紹介! (2016.03.04)
- 「資生堂ショック」いまだ収まらず ~「産まない女子」と「産んだ女子」が職場で大ゲンカ(2016.03.04)
- なぜ日本政府はPKF部隊派遣にこだわるのか? 自衛隊「駆けつけ警護」問題の真実(2016.03.03)
- 丸山ゴンザレスが見た「破綻国家」ギリシャの現実〜難民の後を追って、裏路地を行くと…(2016.03.03)
- 「安倍総理は強引」「進次郎には資質がある」 小泉純一郎元首相が独白録に込めた怒りと希望(2016.03.02)