長野県のニュース

差別発言受けた女性 市、法務局に相談も解決せず

 長野市内の60代女性が近所の60代の男から1年余にわたって差別発言を受け、市や長野地方法務局に相談したものの解決せず、昨年12月に男に暴行される事態に至っていたことが19日、女性や市などへの取材で分かった。男は暴行の疑いで逮捕され、暴行罪で起訴された。女性は、同法務局には差別発言への対応を拒否されたと説明。これに対し、同法務局人権擁護課は取材に「守秘義務があり、相談があったかどうかも含め答えられない」としている。

 一方、長野市人権・男女共同参画課は男と数回面談したが、「男が発言を認めず、やめさせるのは難しかった」と説明。「結果的に(暴行)事件が起きており、対応について再検討したい」とし、相談への対応が適切だったかどうか調べる方針だ。

 女性によると、男は2011年から女性宅を投光器で照らすなどの嫌がらせを始め、14年8月からは、昼夜を問わずに大声で差別発言をするようになった。男が行ったかどうかは不明だが、女性に対する差別的な内容を記した文書が近所に配られたこともあったという。女性は差別発言が始まってから市と同法務局に相談した。

 男が差別発言をやめなかったため、女性は昨年9月、長野地裁に男の言動を記録したメモ、録音などを提出し、差別発言などを禁じる仮処分命令を申し立てた。地裁は同10月、女性の主張を認めて仮処分命令を出した。

 だが、男は同12月30日に女性の脚を蹴るなどの暴行を加え、長野中央署に逮捕された。暴行罪に問われて今月19日に長野地裁で初公判があり、男は起訴内容を認めた。検察側は冒頭陳述で、男が女性に差別発言を繰り返したと指摘し、差別発言をする男の姿を女性が録画しようとしたことに腹を立て、暴行したとした。

 法務省によると、各法務局は人権侵害の相談を受けた場合、事実関係を調べることになっている。調査結果によって当事者に注意したり、刑事告発したりする必要もある。

 女性は長野地方法務局の担当者に差別発言の録音も聞かせたが、「取り扱うことはできない」と言われたとしている。同省は、同法務局の対応について「守秘義務があり、答えられない」としている。

(2月20日)

長野県のニュース(2月20日)