【新刊】張夏成著『なぜ怒るべきか』(ヘイ・ブックス)
「青年たちよ、サムスン電子・現代自動車のような超大企業の利益独占に怒り、選挙革命で懲らしめよ」
張夏成(チョン・ハソン)高麗大学教授の新著『なぜ怒るべきか』のメッセージを一言で伝えるならば、このように整理できる。前著『韓国資本主義』が韓国型資本主義システムの問題点を暴き出したとするなら、「韓国資本主義Ⅱ 分配の失敗がつくり出した韓国の不平等」という、サブタイトルが付けられた新著は、韓国の不平等問題の根幹を暴き出した力作だ。寡聞なせいかもしれないが、韓国の不平等問題をこれほど細かく、総合的・立体的に分析した著書は見たことがない。膨大な統計の分析を通して自分の理論の論拠を提示しているところは『21世紀の資本』のピケティを連想させる。
張教授によると、韓国の不平等の歴史は短い。1970-80年代の高度成長期には成長の果実が等しく分配され、実質賃金が労働生産性と共に上昇していたため、不平等問題が悪化することはなかった。そんな韓国が、アジア通貨危機の後、世界で最も不平等な国と化した。原因は、雇用と所得の不平等にある。
アジア通貨危機の後、非正規職という新たな雇用形態が登場し、労働者間の賃金格差が拡大し始めた。1980年代の時点でも、中小企業の賃金は大企業の90%の水準にあったが、現在では60%の水準にまで落ちた。全ての雇用のうち、労働者が毎年変わる不安定な雇用は32%に達する。こうした雇用構造を媒介として、成長の果実が家計よりも企業、とりわけ超大企業に集中して流れ込んでいる。その結果、韓国企業50万社のうち財閥100大企業だけで、全企業の純利益の60%を占めるようになっている。一方、財閥100大企業が雇用しているのは、労働者全体の4%にすぎない。