【記者手帳】人口8000万人の韓半島

【記者手帳】人口8000万人の韓半島

 かつて1970年代のイランは今とは完全に別世界だった。首都テヘランの若い女性たちはミニスカートを普通に着用し、『ボーグ』などのファッション雑誌に夢中になっていた。フランスと並ぶワインの一大生産地で、なおかつ消費国でもあった。夜の繁華街では明かりが消えることもなかった。当時のパーレビ国王による親米政策が影響し、国のどこに行っても米国式の豊かな生活が息づいていた。イランの経済規模は1991年には世界7位にまで上り詰めた。

 つい先日、長い間イランを締め上げてきた経済制裁が解除され、世界の主要メディアの中にはかつてのような繁栄を再び期待する声も上がっている。今年は年明けから世界中で株安・原油安が続いていることもあり、世界の投資家たちはイランの経済制裁解除を一層大きな期待を持って見詰めている。

 このようにさまざまな面でイランに注目が集まる理由は非常に簡単だ。まず巨大な人口を抱える巨大市場であることが挙げられる。イランの人口はおよそ8000万人で、これは中東諸国の中で最大だ。欧米はこれまでイランに経済制裁を加えてきたが、それでも人口が多いため経済の基盤は今なおしっかりしている。イランよりも人口が多く、なおかつ1人当たりの所得が多い国は、ほぼ同じ人口のドイツを含めて米国、中国、日本、ドイツ、ブラジル、ロシア、メキシコの7カ国しかない。その上イランではここ5年で人口が500万人も増え、人口構造もかなり若い。中国の習近平・国家主席や欧米の資本家たちがイラン詣でに力を入れているのは、この8000万人の人口を抱える国で、巨額の資金が大きく波打つ様子を頭の中に描いているからだ。

 中東の盟主を自認してきたサウジアラビアがイランを強く警戒する理由も、結局はこの人の数にある。人口がイランのわずか3分の1しかないサウジとしては、欧米からの投資がイランに流れるのをただ手をこまねいて見ているしかない。ドイツが欧州連合(EU)でリーダーのような立場にある理由は、欧州で最も多い8000万人の人口を抱えているからだ。日本が今なお世界第3位の経済規模を維持する理由も、1億を上回る人口があるからに他ならない。

国際部=孫振碩(ソン・ジンソク)記者
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