「はじめてのマネジメント」で「つまづかない」ための「たったひとつの行動」!?

(写真:アフロ)

ここ数年にわたって、僕は、新任直後、就任前後のマネジャー(管理職)の研究をしています。「新任期・就任前後のマネジャーのパフォーマンス」を規定する大きな要因として、僕の中では「確信」に近くなっていることが、ひとつだけあります。

僕の研究によりますと、駆け出したばかりの新任マネジャーたちの成果に大きな影響をあたえてしまう要因は、「マネジャーの個人的キャラ」でもなければ、「部下の特性」でもありません。それは、「管理者のたったひとつの行動」によるのではないか、というのが僕の仮説です。

じゃあ、それは何か?

それは「観察行動」です。

それは、管理職が「動き出す」まえに、

「自分の職場や商圏をじっくり観察すること、見たり、聞いたりすること」

ができるか、どうかです。

動く前に部下の話を聴く、見る

そして

「職場や商圏を徹底的に理解すること」です。

こう書いてしまうと、アタリマエ・マエダのクラッカー的!?に感じちゃうかもしれませんが、意外なことに、新任直後の管理職が、この行動ができるかどうかは、必ずしも自明ではありません。

考えてみれば、至極、極めて、猛烈に「あたりまえのこと」なのですが、しかし、これができるかどうかは、個人間に非常に差が生じるのです。

要するに、「現場を把握しようとする人はする」、一方、「現場を把握しない人は全くしない」ということです。そして、後者の数も結構多いものです。

ともすれば、

マネジャーになったばかりの人は、自分の職場を観察し、そこにうごめく様々な事情・人間関係・顧客の様子を考慮・理解せずに、勢いあまって「動き出して」しまうことが多い

という事態が生まれてしまうのですね。

ワンワードでいえば「前のめり」すぎ、焦りすぎ。

昇進して、嬉しいのかもしれないですし、また、成果を出さなければならないというプレッシャーが、彼/彼女を「前のめり」にしてしまっているのかもしれません。

そして、たいてい、その次に「前のめりマネジャー」が陥る罠は、以前このブログでも論じたことのある「水平展開の罠」です。

「水平展開の罠」とは、駆け出しのマネジャーがついついとってしまいがちな職場を率いる戦略です。「水平展開の罠」とは「自分が実務担当者時代にとって成功した勝ちパターンを、そのまま部下・職場にもやらせようとして、成果が出ないこと」をいいます。職場や商圏や部下の特性などを理解せずに、過去の成功パターン、勝ちパターンを横展開しようとしてしまう。

詳細は下記のブログ記事をご覧下さい。

頭はいいけど部下がついてこないリーダーの「共通点」とは!?

http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakaharajun/20160128-00053875/

なお、一連の結論は「駆け出し期」についていえることです。そっから先の要因は、全く異なることが予想されますので、早とちりなさらぬよう。

ずっと「見続けて」いても、「聞き続けて」いても、環境は望ましい方向にかわりません。十分観察したあとは、やはり動き出すことです。

今日は駆け出しの新任マネジャーが陥りやすいプロセスについて、最近の研究結果を、ちょっとだけ論じてみました。実務家の方からみれば、僕の研究は「牛歩のような歩み」なので、まことに恐縮なのです。

もちろん、マネジメントをはじめてしばらくたったあとは、「どのような競争戦略をとるか?」だの「どのような市場を攻めるか」だの、そういう高度な話が大切になってくるのでしょうけれど、とにもかくにも、「自分の足下」を理解することが大切であるということです。地に足をつけよう。

Be a good observer!

よき観察者たれ!

素敵な一週間を!

そして人生は続く