神戸港などを舞台に2年に1度開かれる総合芸術祭「神戸ビエンナーレ」(神戸市など主催)が、昨年秋の5回展を区切りに終了することが19日、関係者への取材で分かった。企業などからの寄付金が減り続け、約3億円の事業費確保が難しくなったため。同市は18日に発表した2016年度当初予算案に“6回展”の開催準備費を盛り込まなかった。(堀井正純)
神戸ビエンナーレは芸術文化による街の活性化を目指し、07年に始まった。神戸市中央区のメリケンパークやJR高架下などを会場に、現代アートや書、生け花、陶芸など多様な分野の作品を紹介。コンペ形式による作品選定が中心で、輸送用コンテナなどを用いた展示を特色とする。
ミナト神戸の催しとして次第に定着し、5回展には過去最多の約38万3千人(主催者発表)が入場。一方、寄付金は1回展では約7500万円あったが、4回展で約5千万円、5回展では約3500万円(見込み)まで減少し、事業費の確保が課題になっていた。
5回展は国から1億円の補助があったが、市の財政事情も厳しく、16年度予算編成に際して「今後も寄付金の増加は見込めず、従来の3億円規模での継続は難しい。第5回展を一区切りにする」と判断。これまで開催前年に計上してきた5千万円の準備費用の予算化を見送った。
一方、同市は17年秋、ビエンナーレの代わりに神戸開港150年を記念するアートイベントを計画しており、当初予算案に開催準備費として1千万円を盛り込んだ。同市の担当者によると、18年以降も芸術イベントは続ける意向で、「ビエンナーレの成果をどう継承していくか。内容や形式は今後検討する」としている。
文化行政に詳しい藤野一夫・神戸大国際文化学部教授は「150万都市にふさわしい先端的なアートプロジェクトを発信すべきだ。KIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戸)など既存施設を有効活用したい。一方で、地域密着型のイベントや活動も育成できればいい」と指摘する。
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