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本山勝寛: 学びのすすめ このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

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2014-01-14

奨学金は学生ローンに名称変更すべき?

奨学金問題について昨年から継続して投稿している。世の論調としては、「奨学金がサラ金より悪質」だとか極論ともいえる奨学金制度たたき(というより事実誤認)から、最近は徐々にフェアな論考が散見されるようになった。そのなかで一理ある指摘として、「奨学金という名前が誤解を与えている。給付ではなく返済が必要なのだから、学生ローン(または教育ローン)という名前に変えろ」というものだ。

これについてはもっともな指摘であり、世間からタタキを受けている日本学生支援機構のためにも、「有利子奨学金」が借金であることが分からない大学生のためにも、一考に値する提案だ。

とはいえ、この案にもメリットとデメリットが考えられる。メリットはもちろん、条件は良いがあくまで借金であり、卒業後に借りたお金は返す責務があることを学生にしっかりと理解してもらうことである。借りる際に、本当にその金額を将来返すことができるのか、真剣に考えるよう促す効果は多少あるのかもしれない。

デメリットは、「奨学金」という公的性を帯びた名称を外し、ローンというビシネスライクな名称に変更することによって、利率を可能な限り低く設定するという現在働いていると思われる効力が薄れる可能性があることである。

学生支援機構の第二種有利子奨学金と金融機関の教育ローンの利率は以前も比較したが、機構の場合、上限利率3%だが、実際には市場金利に合わせて金利設定され、変動利率の場合が現在0.3%前後、固定利率でも1%台だ。一方、みずほ銀行の教育ローンの場合、変動で3.375.%、固定で4.80%になっている。この利率の差が大きいことは言うまでもない。

だが、もし奨学金という名前を外して学生ローンという名称にすれば、たとえ利率が現状よりも上げられ、しまいには上限の3%に設定されても、批判しづらくなるのではないだろうか。ローンなのだから、一定の利率があるのは当たり前だからだ。

実際に、日本政策金融公庫が行う国の教育ローンは、親が対象だが、利率が現在2.35%に設定されている。金融機関の教育ローンよりも低いが、日本学生支援機構の有利子奨学金も学生ローンという名前になれば、このくらいに利率が上げられる可能性は否定できない。回収方法が今以上にビジネスライクになることも考えられよう。

学生ローンという名称変更には反対ではないが、そういったことも十分に考慮し、たとえば利率を可能な限りおさえる計算式を明文化、規則化したうえで、実施することを提案したい。

nitsukenitsuke 2014/01/14 18:13 はじめまして。BLOGOSの記事で興味をもったので、こちらのブログを訪問させていただきました。

私は、名称とか金利とかが問題じゃなくて、
そもそも、(給付型の)奨学金という、先進諸国では当たり前の制度が日本にないってことが、一番の問題じゃないかなーと思います。

>東大は親の給与所得が400万円以下なら全額免除という措置を取っているが、他の国立大学でも同様の施策を実施してほしい。少なくとも国立大学に通えるくらいの努力をすれば、家庭の経済事情で進学をあきらめるようなことがないように保障すべきだ。

上の文は、本山さんの別の記事から抜き出してきたものです。
http://blogos.com/article/71741/?axis=b:40603

これなんです。一番の問題はその保証の仕組みが日本にないことであって、今の奨学金が制度的に良い悪いとか、金利がどうとか名称がどうとか、そんなのを論じてても仕方がないと思うんですよ。

本山→nitsukeさん本山→nitsukeさん 2014/01/14 22:12 コメントありがとうございます。
名称については個人的には大きな問題ではないと私も思いますが、ネット上を中心に大きな声になっていましたし、私の記事にもそういったコメントが多かったので考察してみました。
ただ、利率については奨学金を借りている立場にとってはかなり大きな問題であり、実際のところ、無利子であったり、かなりの低金利であることが、貸与者を助けているというふうに、奨学金を返済している者として実感しています。
給付型奨学金については、日本にないとは言えず、大学授業料免除も給付型奨学金だとみなすと、国立大生にはそれなりの割合で給付されています。ただ、私立も含めてそれが十分かといえば、そうでもなく、たとえば、外国人留学生の奨学金に国別上限を設定することで支出をおさえられる予算を日本人向けに回すことで、現予算額内で現実的な改善策が可能だという提案もしております。
他にも様々な提案をしていきたいと思います。

nitsukenitsuke 2014/01/15 02:52 返信有難うございます。
利率はたしかに問題ですね。すみません、言い過ぎました。

ただ、本来はこういう学生への支援って、貸与じゃなくて給付でやるべきだと思うんです(だから金利は問題じゃないって書きました)。
貸与型の奨学金は残すにしても、給付型の補完という形にすべきではないかと思います。

親の収入が高ければ、なんの苦もなく社会人のスタートを切って、
親の収入が低ければ、500万円もの借金を背負って社会に出る。
そんな世の中、納得できないんで。

具体的な方策は、「現予算額内で」となると私には分かりません。
私たち学生や保護者に代わって現実的な提案をしていただき、ありがとうございます。
もっと学びの門が開かれた社会になるといいですね。

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