【ソウル聯合ニュース】韓国の政府と銀行業界が、核開発疑惑に伴う経済制裁が解除されたイランとの金融取引の活性化に向けた動きを加速させている。
金融業界によると、企画財政部や外交部など政府と、ウリィ銀行や中小企業銀行(IBK)など銀行の実務者が30日からイランを訪問する。イランの中央銀行の関係者らと会い、ウォン建て決済の維持や、ユーロなどドル以外の国際通貨を利用した決済の拡大などについて協議するようだ。
今月半ばに国際社会がイランに対する経済制裁を解除したことを受け、韓国企業はイランと自由に貿易と投資をできるようになった。しかし、金融取引はまだ限定的だ。対イラン取引における韓国銀行(中央銀行)の許可制は外されたが、米国の法令の関係でドルの使用は引き続き禁じられている。
韓国企業はウリィ銀行か中小企業銀行を通じウォン建て決済でイランと金融取引を行える。イランへの経済制裁が始まった2010年に、韓国政府はこの2行にイラン中央銀の名義のウォン建て口座を開設し 対イラン輸出入代金を決済できるようにした。政府はこうしたウォン建て決済を維持する一方、決済できる通貨をユーロなどにも広げていこうとしている。
政府と足並みをそろえ、大手銀行も対応を急ぐ。
ウリィ銀行は本店にイラン交易・投資支援センターを設けた。イランの状況を把握するため上半期中に専門家を派遣することを検討している。
中小企業銀行はこのほど本店に、イランと貿易を行う企業向けに代金決済の方法や政府指針、留意事項などを案内するイラン輸出入・商談支援窓口を設置した。来月16日には企業の実務者を対象に説明会を開く。
KEBハナ銀行は近く、イランの地場銀行とのネットワーク(口座取引)を復活させる計画だ。新韓銀行は昨年アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに開設した支店を拠点に、イランを含む中東地域の金融市場を調査する。
また、来月末にイランのテヘランで「韓国・イラン経済共同委員会」が開催されるが、KEBハナ銀行や中小企業銀行、韓国輸出入銀行などの実務者が経済使節団に加わる予定だ。
ただ、銀行はイラン金融市場への進出に関してはまだ慎重な姿勢だ。ある大手銀行の関係者は「進出自体は難しくないが、市場性についてもっと綿密に調べる必要がある」と話す。