1988年からアメリカ版『VOGUE』の編集長を務め、ファッション界を牽引してきたアナ・ウィンター。その冷徹さから、鬼編集長として恐れられた彼女ですが、近年、そのリーダーシップを評価する声が上がっています。
そこで、今回は彼女のリーダーシップの秘訣に迫ります。
決断力をもつ
人の上に立つうえで、アナが最も重視しているのが「決断力」です。彼女は、以前自分の上司が決断力に欠ける人物だったことから、物事をスパッと決める大切さを学びました。
私のボスには、決断力がまったくなかったの。なにかを決めるのにとても時間をかけて、そうして何日かすると、自分で決めたことを覆してしまうのよ。
そこから私は、決断力をもつために最も必要なこと、そして(決断を)部下に知らせる方法を学びました。決心がつかなくても、決めたふりをするの。そのほうが皆が納得できるから。
「Business Insider」より翻訳引用
たしかに、「迷える上司」についていきたいと思う部下は少数。ときにはハッタリでもいいから、決断力をアピールする必要があります。
マイクロマネジメントをしない
意外にも、アナは自分のことを偉大なリーダーだとは思っておらず、むしろ「良い権限委任家」だと思っているようです。そのため、任せられることは部下に任せ、なおかつ部下のすることに口を出さないというスタイルをとっているよう。
責任をもったときに人はよく働くのよ。(中略)仕事の進行具合は知りたいけれど、ダブルチェックしたりトリプルチェックをしたりはしないわ。
「Business Insider」より翻訳引用
人に「任せる」のも、リーダーシップの大切な要素。これは、彼女が部下を信頼しているからこそできるのだと思います。
過去を振り返らない
アナは、イギリス版『VOGUE』の元編集長ベアトリクス・ミラーから「過去を振り返らない」ことを学んだといいます。
あるプロジェクトを終えたばかりの彼女に「どうでしたか?」と聞くと、「アナ、次のことを考えるのよ」と言われました。
「私も彼女に習い、事後検討は絶対にしません。部下にも、仕事が上手く行ったのか、そうでなかったのか話してもらう必要性を感じません。ただ、前に進むだけよ」
「Business Insider」より翻訳引用
過去を検討しても、得るものがないということでしょう。とても潔いポリシーです。
このように、冷徹といわれる彼女の行動には、それなりの理由と信念があることがわかりました。一貫性のある彼女だからこそ、求心力のあるリーダーとして長年『VOGUE』のトップに君臨できたのだと、納得しました。
photo by Getty Images