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 厚生労働省が29日発表した2015年平均の有効求人倍率は、前年を0・11ポイント上回る1・20倍と、人手不足を背景に1991年以来24年ぶりの高水準になった。また、総務省が同日発表した15年平均の完全失業率も前年より0・2ポイント低い3・4%で、97年以来18年ぶりの低さだった。

 年平均の有効求人倍率は6年連続で改善。正社員数は前年比26万人増の3313万人となり、リーマン・ショック前の07年以来、8年ぶりに増えた。厚労省の担当者は「景気回復が長く続き、企業も正規雇用に踏み切る段階に入ってきたのではないか」と話す。

 15年平均の新規求人数は86万3045人で前年を3・5%上回り、比較可能な63年以降で過去最高。産業別では、高齢化で需要が高まる医療・福祉のほか、外国人観光客の増加に支えられた小売業や宿泊業、飲食業などで伸びた。

 ただ、職種別にみると雇用の「ミスマッチ」は深刻だ。医療技術や介護、接客、建設などで有効求人倍率が3倍前後と高い。一方、人気の高い一般事務は0・27倍と競争が厳しい。ハローワークには、企業が求人を出しても採用に結びつかないまま残る事例もあるといい、人手不足分野での求職者の掘り起こしを急いでいる。

 都道府県別の有効求人倍率は、東京都の1・75倍が最も高かった。最低は沖縄県の0・84倍だが、観光客の増加などで同県としては過去最高の倍率だった。

 昨年12月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月を0・02ポイント上回る1・27倍で、2カ月連続の上昇し、こちらも24年ぶりの高水準。完全失業率(同)は前月から横ばいの3・3%だった。(北川慧一)