【社説】イラン市場争奪戦に出遅れる韓国、チャレンジ精神取り戻せ

 中国の習近平国家主席は22日、経済制裁解除から1週間もたたないイランを外国首脳としては初めて訪問。両国の貿易規模を10年以内に11倍に増やすことで合意した。遅れるまいと日本の安倍首相もイラン訪問を目指している。最近テヘラン市内のホテルは世界から殺到した企業関係者で空室がないといおう。イランは今年60兆ウォン(約5兆9000億円)を超える工事を海外に発注し、今後5年間も投資を増やす計画だ。イラン特需を狙うライバル国の鼻息が荒いのとは対照的に韓国政府はあまりに余裕を見せ過ぎにも見える。先週の経済閣僚会議で対イラン輸出拡大策を協議し、来月には産業通商資源部長官がイランを訪問する予定だという。イランは韓国にこんな消極的な対応をしていてはならない。

 世界貿易が低迷する中、イランは唯一輸出が増える可能性がある国だ。米国との関係を考慮しなければならない政治的事情があるにせよ、「今回のチャンスを必ずつかみたい」という緊迫感が見えない。昨年3月、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の中東訪問時、「第2の中東特需」実現すると宣言したことも既に色あせている。

 韓国はこれまで、他のどの国よりも素早く、果敢に動くことで経済発展を成し遂げてきた。1973年の第1次オイルショックでは、政府と企業はオイルマネーがある中東の砂漠への進出し、ショックを特需へと変えた。1990年代末の通貨危機では、国際通貨基金(IMF)の要求を上回る市場開放と構造調整で不死鳥のごとく蘇った。2000年代以降も「先進国に市場を開放すえば死を迎える」との反対論を押し切り、米国、欧州と自由貿易協定(FTA)を結ぶなど貿易領土を世界で最も劇的に広げた。

 しかし、最近は経済面の懸案で全て出遅れている。既に米国と日本が主導する新たな貿易秩序である環太平洋経済連携協定(TPP)への参加時期を逃し、通商ブロック化の流れに乗り遅れた。構造改革が求められているにもかかわらず、与野党による政争で関連法も処理は遅れたままだ。年初来、世界の株式市場が動揺し、韓国でも外国人による過去最長の売り越しが続いているが、政府は「心配はない」と繰り返す。イラン特需を他人事のようにとらえる政府の態度もそうした雰囲気の延長線上にあると言えそうだ。

 韓国の対イラン輸出は年41億ドルで、中国の10分の1にも満たない。一時10%に迫った市場シェアも7%台に落ち込んだ。中国が制裁を無視してイランへの輸出を増やした影響が大きい。しかし、現在は韓国が失地を取り戻す機会がやってきたにもかかわらず、出遅れている格好だ。過去の実績を回復しただけでも3兆ウォンに達する輸出市場が生まれる。韓国を現在の地位にまで押し上げた迅速かつ果敢なチャレンジ精神はすっかり過去の遺物と化してしまったようだ。

キム・テグン記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース