韓国の総体的アプローチとは?北朝鮮自らの核放棄を誘導か

【ソウル聯合ニュース】韓国外交部が22日の大統領への業務報告で、北朝鮮核・北朝鮮問題に「総体的」にアプローチすると言及した。これは、北朝鮮が変化しない限り北朝鮮核問題の進展も難しくなったという状況認識を映し出したものと受け止められる。

 北朝鮮は6日に「水素爆弾実験」と主張する4回目核実験を強行し、核保有国として認めさせようとする意図を国際社会に向けてあらわにした。現時点で北朝鮮に非核化の意向が全くないことが再確認されただけに、自らが危機感を感じて核放棄を選択せざるを得ない状況にすることが、総体的なアプローチの柱となっていると分析される。

 韓国政府の高官は「北は4回目核実験を通じ(核と経済の)並進路線の固守を行動で示した。北の変化を誘導するよう圧迫していくのと同時に、非核化問題を併せてアプローチしなければならない」と説明した。

 そのために政府は、米国や日本などとの協調を土台に、まずは国連安全保障理事会による制裁、次に各国の制裁と、全方位で北朝鮮へ圧力をかけていく構想だ。安保理で話し合われている新たな対北朝鮮決議に過去より強力かつ包括的、実効的な内容を盛り込むことにまずは集中しながら、これを補完することになる韓米日など各国の対北朝鮮制裁も動員したい考えだ。

 制裁の形でなくても、北朝鮮、特に金正恩(キム・ジョンウン)政権が圧力を感じるような手段を総動員するという意志も含まれているようだ。ある韓国政府筋は安保理の制裁がスタートになるとしながら、「各国による制裁があり得る。その次に、制裁でなくても北を圧迫できる複数の措置がある」と話す。外交部が圧力の方法として、北朝鮮の人権問題に対する国際協調を掲げた点が目を引く。

 一方、政府が総体的なアプローチを掲げたのは、北朝鮮への圧力の戦略的な目標が微妙に変化したことを示すものではないかという観測も一部で出ている。核を追求する北朝鮮の現政権が存立に危機を感じるほどの圧力も念頭に置くという意味かもしれないためだ。

 実際にこの日の業務報告では、南北関係よりも非核化を明確に優先する姿勢が見られた。
昨年の業務報告が北朝鮮の非核化と南北関係改善の好循環を推進するとしたのに対し、今年は統一部の推進戦略でも北朝鮮非核化への圧力を真っ先に挙げた。

 この先鍵となるのは、強力な圧力というアプローチが、核問題をめぐる北朝鮮政権の駆け引きを変えさせるのにどれほど効果を発揮できるかだ。

 北朝鮮の経済活動に決定的な影響力を持つ中国は、「朝鮮半島の安定を追及すべきだ」とし、北朝鮮の政権を揺るがしかねない制裁には反対している。ロシアも同じような姿勢だ。安保理常任理事国である両国の積極的な賛同なくしては、韓米が追求する強力で包括的な制裁の実現は難しい。

 外交部は昨年の業務報告で「最上の韓中関係を構築した」と評価していたが、今年は「中国と戦略的な(意思)疎通を強化し、北の核を認めない原則の実質的な履行を確保する」と言及するにとどめた。韓中間の微妙な食い違いを念頭に置いたものではないかとみられている。

 外交部はこのほか、周辺4カ国(米中日ロ)外交を積極的に展開し、韓米日、韓米中、韓日中など3カ国間協力を活性化させると表明した。しかし、米国や中国など主要国にどのように働きかけるか、具体的な戦略は提示しなかった。韓国が昨年も働きかけてきた韓米中による北朝鮮核協議の開催に、中国はまだ応じていない。

 また、北朝鮮に圧力をかけた後、北朝鮮を対話の場に引っ張り出すための戦略が見えないという指摘もある。

 これについて政府高官は「今回の業務報告で、圧迫が相当に重要な位置を占める」とした。こうした努力に対する北朝鮮の出方次第で、次のステップを検討することが可能だと説明した。

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