「塩でがんを治す」 末期患者をだました業者に実刑=ソウル地裁

9日後に意識失い3カ月後に死亡

 末期の胃がんで余命1年と宣告された50代の男性は2014年1月、塩と禅食(栄養食品)だけでがんを治すというふれ込みの生食院(ソウル市冠岳区)を訪ねた。

 同院の社長(55)は男性に「私たちが販売する塩と禅食だけを摂取すれば1カ月以内に効果が現れる」と説明。3グラムの塩1袋を1日に3回摂取し、「腹水を除去してがん細胞を殺すため」水は飲まないようにと指示した。

 これを信じた男性は300万ウォン(約29万円)で塩と禅食を購入して服用した。指示を守り、水も飲まなかった。だが男性はそれから9日後、意識を失って倒れた。血中ナトリウム濃度が急上昇し、脳神経に損傷が起きたのだ。男性は3カ月後に死亡し、社長は業務上過失致傷罪で起訴された。

 被告は法廷で「すでに摂取した10万ウォン(約1万円)分を除き、残りの塩と禅食を返してくれれば290万ウォン(約28万円)を返金する」などと言い、遺族に謝罪もしなかったという。

 ソウル中央地裁刑事6部(メン・ジュンヨン裁判官)は21日「余命宣告を受けた被害者が身辺を整理する時間さえなく、悲惨な死を迎えた」とし、禁固1年を言い渡すとともに被告を法廷拘束した。禁固刑は刑務所に収監されるものの、懲役刑と違い労役にはつかない。

チョ・ベッコン記者
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