助成30万円に 政府、初回費用で倍増
政府は体外受精などの不妊治療にかかる費用の助成を20日から拡充した。初回助成の上限を現行の15万円から30万円に倍増して治療を始めやすくした。2回目以降は15万円を助成する。夫が要因の不妊にも対応するため、精子を採取する手術を受けた場合には新たに1回につき15万円を上乗せする。
不妊治療は公的医療保険が適用されず高額な費用がかかる。晩婚化を背景に不妊治療は広がっており、2013年度の助成利用は延べ14万8659件。治療に取り組む夫婦の負担を軽減する狙いだ。
必要額を盛りこんだ15年度補正予算が20日に成立し、即日実施した。治療を既に受けていても、治療の終了が20日以降であれば対象となる。指定された医療機関で受診し、都道府県や政令指定都市、中核市の担当窓口に領収書などを提出し申請する。
厚生労働省によると、体外受精の費用は1回当たり30万〜40万円。その過程で夫が無精子症などの場合に精子を取り出す手術を受けると、さらに30万〜50万円かかるという。
現行では、体外受精1回につき15万円を上限に助成し、回数は治療開始年と妻の年齢により上限10回まで。4月以降は制度が見直され、回数が減ったり年齢に上限が設定されたりすることが決まっている。
不妊症患者を支援するNPO法人「Fine」(東京)の松本亜樹子理事長は「男性の積極的な治療へのハードルが下がるのはありがたいが、4月から助成回数が減ることを考えると十分とは言えない。1回の上限額をなくし、まとめて使えるようにしてほしい」と話している。(共同)