大韓航空の操縦士が、会社側に5000万ウォン(約490万円)を超える年俸引き上げを求め、ストライキの賛否投票を実施している。
同社の操縦士でつくる労働組合は18日、昨年の賃金交渉決裂に伴い、争議行為の可否を問う投票を実施中だと明らかにした。17日現在、投票率は54%だという。29日までの投票で可決された場合、ストライキに突入する。労組側は37%の賃上げを要求している。
大韓航空の発表によると、同社の操縦士の平均年収は1億4000万ウォン(約1360万円)ほど。37%の賃上げが受け入れられれば、1人当たり平均で5100万ウォン(約500万円)程度の年収アップになる。大韓航空側は「若年層の失業率(9.2%)が過去最高を記録する中、操縦士があまりに利己的な要求をしている」と反発する。会社側は給与総額に対し1.9%の引き上げを提示しており、労組の要求とはかなりの隔たりがある。
労組がストに突入すれば、05年12月以来、約10年ぶりとなる。このときはストの影響で約1000便が欠航し、2600億ウォン(約253億円)を超える直接的・間接的損失が発生した。
労組による強気の賃上げ要求の背景には、操縦士不足があるようだ。大韓航空を昨年辞めた操縦士は122人で、14年(16人)の7倍以上に急増した。アシアナ航空を退職した操縦士も45人と、14年の21人から倍以上に増えた。
転職先は中国の航空会社か格安航空会社(LCC)だ。機長クラスの操縦士が不足している中国航空会社は、韓国大手航空会社の機長クラスに3億5000万ウォン(約3400万円)ほどの高額年俸を提示してスカウトに動いている。
また、LCCは大手の副機長クラスの操縦士を引き抜きたがっている。大手では副機長から機長に昇進するのに10年かかるが、LCCでは4年ほどだ。昨年1年間で、大韓航空とアシアナ航空の操縦士107人がLCCに転職した。
大手航空会社は、操縦士の退職増加を外国人操縦士などの新規採用拡大でしのいでいる。大韓航空の関係者は「操縦士の転職が世界的なトレンドになっているため、外国人も含め採用を多角化し、採用人数も増やさざるを得ない」と話している。