中国経済がのっぴきならない危機に陥っている。
不況期には景気刺激策によって需要を拡大する従来の手法が通じない。2008年のリーマンショック直後、4兆元の景気刺激策で成し遂げた「V 字回復の夢よもう一度」を期待する声もあるが、いまの中国にそんな余裕などあるはずもない。
中国国内からマネーが逃げ出している
世界の工場として驚異的な高度成長を支えたのは、海外から流入した莫大なマネー(直接投資)だ。だが中国国内からマネーが逃げ出している。中国の外貨準備高は昨年、5千億ドル減り、23年ぶりに減少した。一説には中国からの資金流出額は月に1千億ドルを超えると言う。
「中国で稼いだ人民元を日本に持ちかえる手段は銀聯カードしかない。引き出し制限は1日1万元だったから、銀聯カードを複数使えば1年間に日本円で億単位のお金を海外送金できた。だが昨年9月、中国政府は引出しの上限を年間わずか15万元(約267万円)に制限。事実上、中国から資金が引き出せなくなった。昔の人民元に逆戻りだ」
中国からの事業撤退を準備している日本人経営者の嘆きだ。