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バス事故 シートベルト着用呼びかけなかったか
1月16日 18時17分

バス事故 シートベルト着用呼びかけなかったか
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乗客乗員14人が死亡した長野県軽井沢町のバス事故で、多くの乗客が車外に投げ出されるなどして死亡していたことが分かりました。複数の乗客は「乗客の多くがシートベルトをしておらず、車内で着用を呼びかけるアナウンスはなかった」と話していて、警察は運行の安全管理に問題がなかったか調べています。
15日午前2時ごろ、長野県軽井沢町の国道18号の碓氷バイパスで、乗客39人と乗員2人が乗ったスキーツアーのバスがセンターラインを越えてガードレールに突っ込み、道路下に転落しました。
この事故でいずれも大学生の乗客12人と乗員2人の合わせて14人が死亡したほか、26人がけがをして、このうち男性2人が重体となっています。
警察の調べによりますと、バスは現場の手前にあるガードレールに接触したあと反対車線に出たとみられ、路面にはっきりと残っているタイヤの跡は片方の右側の車輪だけだったということで、警察はバスが急ハンドルを切り、傾いた状態で転落した疑いがあるとみて調べています。
また、事故の衝撃で、複数の乗客がバスの外に投げ出されたり車内で折り重なったりして頭などを強く打って死亡していたことが警察への取材で分かりました。
シートベルトの着用は法律で義務づけられていますが、複数の乗客は「多くの乗客がシートベルトをしておらず、車内で着用を呼びかけるアナウンスはなかった」と話しています。
警察はバスの運行の安全管理に問題がなかったか詳しく調べています。

遺族が事故現場で献花

長野県軽井沢町の事故現場では16日、地元の人などが次々に訪れ手を合わせる姿が見られました。そして午後4時ごろには長野県警察本部の警察に付き添われて事故の犠牲者の遺族2人が訪れました。2人は花を手向け、静かに手を合わせていました。
遺族の男性は「家族が事故に遭ったことは悔しいですが、下ばかり向いていられないので現場に来ました。今後このようなことが二度とないように根本的な対策をとってほしいです」と話していました。

精神的なショック大きく

今回のバス事故でけがをした男性2人が入院している長野県佐久市の病院の院長が男性らから聞き取りをした事故の当時の様子などを話しました。
長野県佐久市の金澤病院には、今回の事故で5人が搬送されこのうち3人は16日退院しましたが、男性2人が頭を強く打つなどして入院しています。
金澤秀典院長によりますと、このうち、千葉市の無職中野弘基さんは(22)車内の中央付近で左側の通路側に座っていたということですが、「寝ていたら突然大きな揺れを感じた。その後は何が起きたか分からなかったが気がついたら人が体の上に乗っていた」と話していたということです。
またもう1人の東京・文京区の22歳の男子大学生は一緒にバスに乗っていた友人が死亡していて、病院の聞き取りに対して「車には乗りたくない」と話すなど事故による精神的なショックが大きいということです。

現場付近走行のドライバー「注意必要」

事故が起きた軽井沢町の国道を利用しているドライバーからは、「現場付近はカーブが連続して続く区間で、車高が高いバスやトラックは車体が傾きやすいので注意が必要だ」などという声が聞かれました。
事故が起きた国道18号線の碓氷バイパスは、群馬と長野を結ぶおよそ13キロの区間で、48か所のカーブが続いていて、今回事故が起きたのは群馬県側から数えて45か所めのカーブです。
この国道をよく利用するというトレーラーの運転手の男性は、「このバイパスはスピードが出やすいので、特に最後の下り坂は注意している。さらに、カーブが連続して続くので、車高が高いバスやトラックは車体が傾きやすいので注意が必要だ」と話していました。また、乗用車でよく通るという46歳の男性は、「上り坂が続いたあと長野県側に入るとすぐに下り坂になっているので、下りではしっかりブレーキをかけないと思わずスピードが出てしまう」と話していました。さらに、以前、観光バスを運転していたという66歳の男性は「ここのカーブは下り坂になっているだけでなく路面が左右どちらかに傾いている。カーブを曲がっている途中で車体が傾いてしまうので注意が必要だ」と話していました。

乗客4人は別の旅行会社の客

スキーツアーを企画した東京・渋谷区の旅行会社は、バスに乗っていた39人の乗客のうち4人は、別の旅行会社2社のツアー客で、亡くなった人もいることを明らかにしました。
東京・渋谷区の旅行会社「キースツアー」の福田万吉代表は、16日午前、報道各社の取材に応じて改めて謝罪し、「自分たちのしたことの大きさを改めて実感している。バス会社と連携して誠心誠意、責任を持って遺族やけがをした人のために対応していく」と述べました。
また、福田代表は、報道陣とのやり取りの中で、事故のバスに乗っていた乗客39人のうち4人は、別の旅行会社2社のツアー客で、亡くなった人もいることを明らかにしました。
これについて福田代表は「旅行会社どうしで連携し、自社のバスが出ない場合、他社のバスに乗せることはケースは少ないが、シーズン中にはあることだ」と述べました。そのうえで、「4人はキースツアーの企画ではなく、別の2社の旅行会社の企画で乗っている」と話しました。

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