判決は任氏の完敗といえそうだ。任氏側や法曹界関係者によると、地裁がこうした判決を下した背景には、2人の婚姻関係が回復不可能だとの判断があるという。
地裁は、2人が07年から8年以上も別居しており離婚したも同然の状態だったこと、任氏がこうした関係を回復する努力を怠ったことを判決の理由に挙げたようだ。李氏が14年に離婚調停を申し立てるずっと前から、夫婦の間に問題があったと認めたのだ。
2人が別居して以降、サムスン不正資金事件に対する特別検事の捜査や裁判、李氏の兄である李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長の離婚、李健熙会長と兄の李孟熙(イ・メンヒ)元第一肥料会長による相続訴訟などがあり、李氏としては離婚に向けてなかなか動けなかったとみられる。
だが、任氏側は「仕事や財閥家の特殊性などのために家を空けたことはあっても、家族行事に出席したり自宅で寝泊まりしたりするなど正常な結婚生活を維持した」としており、控訴審で再び争う姿勢を示している。
離婚訴訟では双方が積もり積もった感情をぶつけることも多い。李氏側は任氏の頻繁な飲酒と酒ぐせに苦労したと主張したのに対し、任氏側は仕事上で必要な最低限の飲み会にだけ出席したと反論したとされる。
判決に対し、ホテル新羅側は「離婚は李社長のプライベートなことであり、会社として立場を発表することはしない」としている。ある財界関係者は「(離婚で)負担が減り、李社長はCEO(最高経営責任者)として現場経営に一層まい進するだろう」と話している。財産分与問題は扱われなかったものの、分与をめぐる訴訟は離婚後2年以内なら起こすことができる。