北朝鮮軍のビラ散布 西部戦線守る第2軍団が主導か

【ソウル聯合ニュース】韓国の政府高官は14日、北朝鮮軍が韓国側に飛ばした宣伝ビラについて、「ビラがまかれた場所と飛んでくる方向からすると、第2軍団の地域から集中的に散布しているようだ」と明らかにした。

 韓国軍も、北朝鮮軍が南北軍事境界線に接する非武装地帯(DMZ)近くの臨津閣北側に配置されている第2軍団の方からビラを散布したと把握している。

 第2軍団は黄海北道の開城市から兎山郡まで40キロの西部戦線を担当する主力部隊だ。昨年8月に北朝鮮軍がDMZに埋めた地雷で重傷を負った韓国軍兵士が所属する韓国軍第1師団と南北軍事境界線を挟んで対峙(たいじ)する第6師団と第15師団も第2軍団に含まれる。機甲と砲兵、工兵、航空部隊も抱えており、韓国の軍当局は第2軍団の兵力を10万人程度とみている。

 北朝鮮の地雷と砲撃による挑発の後、第2軍団長は金相竜(キム・サンリョン)氏から方斗燮(バン・ドゥソプ)氏に交代した。金氏は地雷事件の直接関与した人物の一人とみられる。

 かつて第2軍団に所属していた北朝鮮脱出住民(脱北者)は、「今回の韓国向けのビラは朝鮮人民軍総政治局の敵工局が企画し、下部機関のビラ製作所が印刷したものだ」と話している。第2軍団の敵工部とその下の師団の敵工課が、夜間に黄海北道の開城市や長豊郡、開豊郡などから北西風に乗せて風船を飛ばしたとする。人口が密集する韓国の首都圏を主に狙っており、開城市一帯から集中的に散布したとの見方を示した。

 今回のビラ散布は政治思想教育などを統括する黄炳瑞(ファン・ビョンソ)軍総政治局長が直接決定し、総政治局敵工局に指示したとされる。

 韓国・東国大北朝鮮学科の金榕炫(キム・ヨンヒョン)教授は、黄氏は2014年10月に韓国・仁川を訪問し脱北者団体による北朝鮮へのビラ散布の中止を要求しているとしながら、「黄氏が(韓国向けのビラ散布を)指示したとすれば、韓国軍の拡声器による北朝鮮向け宣伝放送にそれだけ敏感に反応しているというあかしだ」と分析した。

 北朝鮮軍は12日夜から13日未明と、13日夜から14日未明にかけて韓国に向かってビラを散布した。ビラは13日と14日に韓国北部の京畿道坡州市や高陽市など首都圏で大量に見つかった。ビラの束が落ちた自動車が破損するなど財産被害も出ている。韓国軍は13日だけで数万枚のビラを回収した。

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