先日あるファンド投資家から電話があった。朝に目を覚ますのが怖いのだという。年初から世界的に株価が暴落を繰り返したことへの愚痴かと思いきや、実は金融当局が小規模ファンドの整理方針を示したことが不安の理由だった。
金融当局は昨年末から設定規模が50億ウォン(約4億8500億円)に満たない小規模ファンドに対する思い切った整理作業に着手した。それが偶然にも世界の株価暴落と重なった形だ。投資家にしてみれば、損失が短期間に大きく膨らんだだけでなく、ファンド整理で損失を取り戻す機会までなくなってしまった。投資家は「何かと忙しい年末年始に証券会社が携帯メール1通を送ってきて、一方的にファンドを整理するのは許されるのか」と憤った。
金融当局が掲げる名分は投資家保護だ。小規模ファンドは運用会社で適切な管理ができず、投資がが利回りで損害を受ける可能性があるとの論理だ。昨年時点で小規模ファンドは約800本あり、公募型ファンドの36%を占める。政府はそこから世界市場と競争しうる大型投資銀行が生まれるとは考えていないのだ。
しかし、過去最悪の1月相場で資金が蒸発することに耐えなければならない投資家がそんな高尚な論理をそのまま受け入れるようには思えない。まず、ファンドは投資家が私的な契約で運用会社に資金を預けたものだ。ファンドが収益を出そうが、損失を出そうが、投資家自らが自分の決定に責任を負えばよい。その上、韓国のファンドの大半は満期が決まっていないオープン型ファンドだ。投資家の間から「それならば最初から満期を決めておけ」という不満が出るのは当然だ。あるファンドマネジャーも「オープン型ファンドを投資家の同意なしに一方的に整理することが妥当かどうかは分からない。率直に言って、投資家保護よりも役人の便宜上の理由が大きいのではないか」と疑問を呈した。