【動画】ブラジルの日系人たちにとって、日本の歌は特別なもの=田村剛撮影
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■ブラジル日系社会の「紅白歌合戦」

 年の瀬には、「紅白」が欠かせない。南半球、夏間近のサンパウロでも。

 160万人以上の日系人が暮らす南米ブラジル。毎年恒例の「グラン(大)紅白歌合戦」が開かれた。

 19回目の今回は、日本より一足早い12月20日の開催。日本生まれの1世からポルトガル語しか話せない5世まで、10~90代の歌好きの男女58人が、「ブラジル日本文化福祉協会」の大講堂の舞台に立った。

 いずれも地元カラオケ大会で何度もタイトルを手にしてきたのど自慢。約1600キロ離れた町から駆けつけた人もいる。

 歌うのは、日本の歌だ。

 紅組のトップバッターは、1960年代後半に一世を風靡(ふうび)した「恋の季節」(ピンキーとキラーズ)。3世の岡本明美さん(55)は「1、2世のじいちゃん、ばあちゃんに喜んでもらえるように、昔の歌を選びました」。

 約1千人の聴衆の多くは日系の高齢者。選曲は主に演歌や昭和のヒット曲だ。

 主催は、音楽好きの日系人でつくる「グループ・フレンズ」。会長で宮崎県出身の1世、蛯原忠男さん(66)によると、高齢者を歌で元気づけようと始めたのがきっかけだった。費用は出場者や地元企業の寄付でまかなわれる。ブラジル各地の「紅白」の中でも、最大規模の催しだ。