■所得層別の消費刺激策を
韓国統計庁が集計する所得5階層別の1世帯当たり所得・支出でも家計の消費低迷、貯蓄率上昇が進んでいることが分かる。昨年第3四半期(7-9月)の韓国の世帯の平均消費性向(可処分所得に占める純消費支出の割合)は71.5%で、過去12年で最低だった14年第4四半期(10-12月)と同じだった。平均消費性向は11年から4年連続で下落している。
専門家は消費低迷の原因を所得水準別に分けて説明する。中産階級の場合、平均寿命が延び、老後の資金を確保するため、低所得層は負債増加による返済負担のために財布を閉じているという見方だ。世宗大のキム・デジョン教授は「最近の貯蓄率上昇と消費性向の低下は一時的なものではなく、構造的な問題だ。国民年金が2040年に破綻するという説が出るなど老後への不安感が高まり、以前ほど稼いだ分多く使うという姿が見られなくなった」と分析した。ただ、高所得層が消費を増やしているのは対照的だ。所得上位20%の世帯では平均消費成功が昨年第1-3四半期に57.9%から61.3%に上昇した。
これについて、専門家は所得層別に適した政策が求められると指摘する。債務が多い低所得層には可処分所得を増やす政策的支援で消費を刺激し、中産層以上には積極的な消費へと誘導する対策を講じるべきだとの見方だ。
金融研究院のイム・ジン・マクロ経済研究室長は「低所得層は家計債務、老後の生活費などを考慮し、貯蓄を続けるように誘導するとともに、実質所得を引き上げる必要がある。高所得層については、レジャー、休養、子どもの教育などで海外ではなく国内での消費が増えるような条件を整えなければならない」と提言した。