蛇足
「その1」でいただいたブクマに、画像を「いらすとや」さんからお借りしたことに反応を何件かいただきました。画像検索して適切そうなものを使わせてもらっただけで、何か意図があったわけではありません。でも「いらすとや」さんマジ有能で、今回の連載に必要な画像はすべてこちらで揃いそうなので、これも何かのご縁と思って統一することにします。
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16
「おまえをたべちゃうぞ」
こえのぬしは、きょだいなイモムシでした。
牛ほどの大きさの、みどりいろのぶよぶよしたイモムシでした。
スーはたずねました。
「なぜわたしをたべるの?」
17
イモムシはこたえました。
「おれたちのなかまは、ようちゅうのときに花をたべると、花のもようのちょうちょになれる。
ねずみをたべると、ねずみのもようのちょうちょになれる。
ねこをたべると、ねこのもようのちょうちょになれる。
いぬをたべると、いぬのもようのちょうちょになれるのだ」
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「だが、女の子をたべて、女の子のもようのちょうちょになったイモムシは、まだいない。
だからおれさまは、おまえをたべるのだ」
たべられてはたまりません。スーはにげだしました。
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イモムシはおいかけてきました。さいわいイモムシは、そんなに足がはやくないようです。
ところがスーのバスケットから、だいじなししゅうのどうぐが、ぽろっとおちてしまいました。
「いけない!」
スーはおもわず立ち止まりました。
20
ししゅうのどうぐはイモムシが、とげのような、つめのような前足でひろって、めずらしそうにながめています。
スーは言いました。
「それをかえして。それはわたしのだいじなものよ」
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イモムシは言いました。
「きれいじゃないか。おまえはこんなもようをたべたのか?」
スーは言いました。
「ちがうわ。わたしたちは、なにもたべなくても、きれいなもようが作れるのよ」
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イモムシはたずねました。
「どうやって、そんなことができるのだ?」
スーは言いました。
「それはわたしのいちばんだいじなものよ。あなたのいちばんだいじなものを、見せてくれたらおしえてあげる」
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イモムシは言いました。
「しかたがないな」
イモムシはむねの合わせ目の、ふところのようになったところから、大きな目ざましどけいを取り出しました。
「これがおれさまの、いちばんだいじなものだ」
(つづく)
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