北朝鮮による予想外の核実験で、これまで加速しているかに見えた北朝鮮と中国の経済協力も全面ストップしそうだ。吉林省琿春で北朝鮮関連事業を営む実業家は電話取材に対し、「北朝鮮の羅先特区では中朝共同管理委員会の建物がほぼ完成段階にある。今年から両国が羅先特区を開城工業団地のように運営するといううわさがあったが、(核実験以降は)立ち消えになったようだ」と答えた。
中国は羅先特区に電力を供給するため、琿春まで送電線を整備済みだ。琿春から羅先までは60キロメートルしかなく、両地域を結ぶ新豆満江大橋も近く開通する。同実業家は「北朝鮮とは事業が本当にやりにくい。先月中国の最高指導部が『東北部振興』を決め、今年から北・中経済協力を本格化しようとしていたところに北朝鮮が水素爆弾を炸裂させるとは想像もしていなかった」と続けた。羅先特区には中国企業120社余りが進出しているとされる。
琿春、図們、和竜など豆満江(中国名・図們江)一帯で幅広く行われていた北・中経済協力事業も一斉に中断される可能性が高まった。吉林省の対北朝鮮消息筋は「昨年末までに和竜に北・中経済合作区を建設し、図們に近い北朝鮮の穏城島を共同開発する計画も具体的に協議されていた。核実験で一帯では『反北朝鮮感情』が高まり、北・中協力に触れることすら当面は難しいのではないか」と指摘した。同筋は「最近中国の最高指導部は事業推進に際し、住民やネットユーザーなどの世論を注意深く観察している」とも語った。