人気ミステリー小説がアニメ化!という訳でミステリーの言葉に惹かれて見ました、アニメ「ハルチカ~ハルタとチカは青春する~」。
作者初野晴さんはデビュー作「水の時計」(横溝正史ミステリ大賞受賞作)から好きな作家さん。
アニメは1月6日に始まったばかり。
でも第1話から原作と違う!これからどうなっていくのかな、とわくわくさせられたので原作とアニメ版の違いをネタバレしすぎないように書いていきたいと思います。
吹奏楽×青春×ミステリ?明るく切ない日常ミステリ
ハルチカシリーズ第1巻「退出ゲーム」は「私はこんな三角関係を認めない」というヒロインチカちゃんの言葉から始まります。
アニメでは1話のラストに使われていました。
アニメでも第1話でばれちゃってる(原作では最初からハルタの好きな人がみんなにばれる?という話です)ので書きますが、物語の主人公、幼馴染のハルタ(男)とチカ(女)は憧れの吹奏楽部顧問草壁先生(男)を巡って恋の火花を散らす!という奇妙な三角関係の物語。
でも原作だとそんな二人のさっぱりした友情が心地良いのです、甘すぎなくて。
「退出ゲーム」は、ハルタとチカが高1の秋から翌年の春にかけて出会った4つの謎の物語。
アニメでは憧れの舞台に立つシーン(高2かな?)から始まり、「これは6つの季節の物語」とチカちゃんが語ってますし、原作既刊5冊のうちどの辺までのお話をやるのか、今から楽しみです。
爽やか!の皮を被った虎
初野晴さんはデビュー作「水の時計」から読んでますが、仄暗く切ない、ミステリーというよりもダーク・ファンタジー色の強い作品。
その後「ハルチカ」が出て、明るさ爽やかさ、何よりコメディ要素に「これが初野晴?」と驚かされました。
読み終わってもう一度びっくり。
頭脳明晰、容姿端麗、だけど性格に多少難あり…のハルタ。
乱暴で明るくて話し言葉がおかしい(自称キュートガールですからね!)チカ。
変人ばかりの明るくおかしな学園生活。
だけど暗くシビアな物語のラストは、明らかに初野晴味だったのです。
涼宮ハルヒシリーズを思い出すような、奇妙でおかしな学園生活と、(生徒会の奇妙さやら、学園ブラックリストに載るメンバーの可笑しさが吹奏楽部パートをぶっとばすくらいの出来!)コメディの果てに突然訪れるシリアスな謎の結末。
明るく楽しく爽やかに、なのに「ヘイハイズ」(戸籍の無い子ども)や1966年に渡米したお爺さんはなぜ帰ってこれなかったのか、という暗い謎まで。
楽しく笑わせながら、謎の結末は少し重くてどこか切ない。
やっぱり初野晴だなぁ、と思わされました。
アニメも、「吹奏楽×青春×ミステリ」と今流行りのキーワードを売りにして、第一話はエピソードだけを使ったオリジナルストーリーで明るく可愛く爽やか!を装ってましたがこれからどんどん皮を脱いでほしい、と期待しております。
切なさと、暗く重い現実と。
吹奏楽で大会出場!を目指しながらもやみくもに練習するんではなく優秀な生徒をスカウトすることで底上げしていくハルチカの現実っぷりが私が好きです。
社会問題をテーマにして、考えさせられる話が多いのでチカちゃんの可愛さ、という羊の毛皮に騙されて視聴する子ども達が多いといいなぁ。
アニメはまだ第1話。
この先は分かりませんが、明るく可笑しくてやがて切ない、そんな原作版と同じ「ハルチカ」に、アニメでも出会えたらいいな、と期待しております。