米加州でメタンガス漏出 知事が非常事態宣言
- 2016年01月7日
米カルフォルニア州ロサンゼルス近郊で天然ガス地下貯蔵施設からメタンガスの漏出が続いていることを受け、ジェリー・ブラウン州知事が6日、非常事態を宣言した。
ブラウン知事は、関係者に対し「必要かつ可能なあらゆる手段」を通じて漏出を止めるよう命じた。
昨年10月から続くガス漏出で2000戸以上の周辺住民が避難を余儀なくされており、健康被害が多数報告されている。
ロサンゼルス近郊ポーター・ランチにある地下貯蔵施設はメタンガスを急速に噴き出しており、漏出したメタンガスの量はカルフォルニア州全体が通常排出する量の4分の1にまで達している。メタンは地球温暖化効果が非常に高い。
<英語ビデオ>ガス漏出は2月まで止まらない可能性がある
貯蔵施設の井戸は住宅地域から1マイル(約1.6キロ)以上離れているが、周辺住民は頭痛や吐き気、嘔吐、呼吸困難などを訴えていた。
米国の環境保護団体「環境保護基金」の弁護士を務めるティム・オコーナー氏はBBCの取材に対し、「環境と公衆衛生の災禍と呼ぶべきだろう」と語った。
オコーナー氏は、「過去の事例と比べても、メキシコ湾の原油流出事故を大きく上回る被害が生じている。今回の漏出は、7億ガロン(1ガロンは約3.8リットル)のガソリンを燃やしているようなもので、450万台の車が毎日排出する汚染と同等になる。これは悲劇だ」と述べた。
影響はどの程度か
メタンは天然ガスの主要構成物資で、太陽放射を大気中に閉じ込める働きがあり、地球温暖化効果が非常に高い。短寿命気候汚染物質と呼ばれる種類に分類されている。
メタンなど短寿命気候汚染物質は大気中の残存期間がほかのガスと比べて短いが、カリフォルニア州大気資源局は「大気を温める効果では、二酸化炭素の数十倍もしくは数百倍、数千倍にもなる可能性がある」と指摘している。
BBCのマット・マグラス編集委員によると、このような強力なガスが大量に漏出すれば気候変動に大きな影響を与える可能性があるという。
住民は吐き気や頭痛を訴えているが、公益事業者のサザン・カリフォルニア・ガスは「天然ガスに毒性はなく、天然ガスに加えられた付臭剤の量は健康に害がない程度だというのが科学者の一致した見解だ」と説明している。
地元の保健当局者は、メタンガスに長期間さらされた場合の健康への影響は分かっていないと述べた。
事故はなぜ起きたのか
長さ150メートル余になる注入井のパイプが損傷したことが、漏出の原因だとみられている。販売まで地下で貯蔵される天然ガスを、地下に注入する道具が注入井だ。パイプがなぜ損傷したのかは不明。
ロサンゼルス・タイムズ紙によると、問題の貯蔵施設は使用されなくなった油井を活用したもの。数十年前にサザン・カリフォルニア・ガスが買収し、天然ガスの貯蔵に使っている。遠くはカナダからガスが送り込まれているという。