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【銀幕裏の声】
死刑免れたソ連のスパイは…機密文書が明かす米偵察機U2撃墜の真実(上)「ブリッジ・オブ・スパイ」
「この橋の上でのドラマはすべて事実だ」
米ソ冷戦下の1962年、米国で逮捕されたソ連のスパイと、ソ連領空で撃墜され拘束された米偵察機U2のパイロットがベルリンの橋の上で交換された…。1月8日公開の映画「ブリッジ・オブ・スパイ」は、この交換交渉を行った米弁護士を人気スター、トム・ハンクスが演じ、メガホンを執ったのは巨匠、スティーブン・スピルバーグ監督。ハリウッド最強コンビによるエンターテインメント大作を見て、「このグリーニケ橋で展開されるドラマは事実か? 間違いなく本物です」と語気を強めるのは大阪大学外国語学部非常勤講師で、歴代米大統領研究の第一人者、西川秀和さん。U2撃墜で混乱する当時の米政府の機密文書などを入手し分析する米研究のスペシャリスト、西川さんに驚(きょう)愕(がく)の真実を聞いた。(戸津井康之)
死刑確実の窮地 命懸けの弁護
1957年、米ニューヨークでソ連のスパイ、ルドルフ・アベルが逮捕される。米政府は国選弁護人にジェームズ・ドノヴァン(ハンクス)を指名。冷戦下、「死刑確実」とされた四面楚(そ)歌(か)の状況でもドノヴァンはひるむことなく「法の下の平等」を主張し、アベルは死刑ではなく懲役30年の判決を下される。一方、1960年、ソ連領空を飛行していた米偵察機U2がソ連のミサイルで撃墜され、パイロットのパワーズが拘束される。CIAはパワーズとアベルの交換を画策。その交渉役にドノヴァンを指名する…。
「一言で言えば『不寛容』の時代でした」
冷戦下、1950年代の米国社会を西川さんはこう表現する。
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