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袴田事件で検証実験の手続き始まる1月7日 17時35分
いわゆる「袴田事件」で、おととし、再審・裁判のやり直しが認められる決め手となったDNA鑑定について、問題がないか確かめる検証実験の手続きが、7日から東京高等裁判所で始まりました。実験は裁判所の判断に大きく影響する可能性があり、結果が注目されます。
昭和41年に今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で、死刑が確定した袴田巌さん(79)について、静岡地方裁判所は、おととし3月、犯人のものとされる衣類の血痕から抽出されたDNA型が、袴田さんと一致しないという鑑定結果などを決め手として、再審を認める決定を出しました。
検察が決定を不服として抗告し、鑑定の手法に問題がないか確かめるよう求めたことから、東京高等裁判所は、検証実験を行うことを決め、先月、依頼する法医学の専門家を選びました。
7日は東京高等裁判所に専門家が呼ばれ、弁護団と検察官が立ち会って、検証実験の進め方などを確認する手続きが行われました。
弁護団によりますと、細かな条件などは今後の話し合いで決まるため、結果がまとまる時期についての見通しは示されませんでしたが、少なくとも数か月程度はかかるとみられ、審理の長期化は避けられなくなりました。
検証実験は、裁判所の判断に大きく影響する可能性があり、結果が注目されます。
検察が決定を不服として抗告し、鑑定の手法に問題がないか確かめるよう求めたことから、東京高等裁判所は、検証実験を行うことを決め、先月、依頼する法医学の専門家を選びました。
7日は東京高等裁判所に専門家が呼ばれ、弁護団と検察官が立ち会って、検証実験の進め方などを確認する手続きが行われました。
弁護団によりますと、細かな条件などは今後の話し合いで決まるため、結果がまとまる時期についての見通しは示されませんでしたが、少なくとも数か月程度はかかるとみられ、審理の長期化は避けられなくなりました。
検証実験は、裁判所の判断に大きく影響する可能性があり、結果が注目されます。
袴田巌さんの弁護団は検証実験について「科学的な根拠がなく、審理をいたずらに混乱させる」として反対しています。
西嶋勝彦団長は7日の会見で、「われわれは終始一貫して有害で無益な実験であるという立場を崩していないが、専門家がどのような心構えで実験に臨むのか見極めるために立ち会った。異議を申し立てても手続きを止められなかったので、出てくる結論に対して的確な意見を述べていきたい」と話していました。
西嶋勝彦団長は7日の会見で、「われわれは終始一貫して有害で無益な実験であるという立場を崩していないが、専門家がどのような心構えで実験に臨むのか見極めるために立ち会った。異議を申し立てても手続きを止められなかったので、出てくる結論に対して的確な意見を述べていきたい」と話していました。
DNA鑑定の検証実験の焦点は
DNA鑑定の検証実験では、弁護側の専門家がDNAを抽出した方法が科学的に信頼できるかどうかが焦点となります。
事件の犯人が着ていたとされるシャツには、本人のものとみられる血痕が付着していましたが、保管の状況が悪く、DNAが劣化していたため、鑑定を行うのは難しいとされていました。
しかし、袴田さんの弁護団が鑑定を依頼した専門家は、シャツの付着物から血液の細胞だけを選ぶという効率的な手法を使ってDNAを抽出できたとして、「袴田さんと一致しない」という鑑定結果を出し、再審が認められる決め手となりました。
これに対して検察は、「科学的に信頼できない独自の手法で、無関係のDNAが抽出された可能性がある」と主張しました。
東京高等裁判所は、シャツから取り出した試料がすべて使われ再鑑定ができないため、研究用の古い血痕のサンプルを使い、別の専門家に依頼して手法の信頼性を検証することにしました。
具体的には、血液がしみこんだガーゼに別人の唾液を加えたうえで、同じ手法を使って血液だけからDNAを抽出できるかどうか確かめることにしています。
この実験について弁護団は、「犯人のものとされるシャツと完全に状態が異なるサンプルで検証しても無意味で、審理をいたずらに混乱させる」と批判しています。
一方、検察は、「弁護側の鑑定で抽出されたDNAは、シャツに触れた捜査関係者などのDNAだった可能性がある」などと主張しています。
事件の犯人が着ていたとされるシャツには、本人のものとみられる血痕が付着していましたが、保管の状況が悪く、DNAが劣化していたため、鑑定を行うのは難しいとされていました。
しかし、袴田さんの弁護団が鑑定を依頼した専門家は、シャツの付着物から血液の細胞だけを選ぶという効率的な手法を使ってDNAを抽出できたとして、「袴田さんと一致しない」という鑑定結果を出し、再審が認められる決め手となりました。
これに対して検察は、「科学的に信頼できない独自の手法で、無関係のDNAが抽出された可能性がある」と主張しました。
東京高等裁判所は、シャツから取り出した試料がすべて使われ再鑑定ができないため、研究用の古い血痕のサンプルを使い、別の専門家に依頼して手法の信頼性を検証することにしました。
具体的には、血液がしみこんだガーゼに別人の唾液を加えたうえで、同じ手法を使って血液だけからDNAを抽出できるかどうか確かめることにしています。
この実験について弁護団は、「犯人のものとされるシャツと完全に状態が異なるサンプルで検証しても無意味で、審理をいたずらに混乱させる」と批判しています。
一方、検察は、「弁護側の鑑定で抽出されたDNAは、シャツに触れた捜査関係者などのDNAだった可能性がある」などと主張しています。