中国が世界舞台に再び登場して以降、「中国崩壊論」と「中国台頭論」が毎年取り沙汰されている。昨年も米国有数の専門家とされるジョージワシントン大のデービッド・シャンボー教授がウォール・ストリート・ジャーナルに「近づく中国の崩壊」と題する寄稿を行い、崩壊論を主張した。
シャンボー教授は「習近平主席が共産党解体を防ぐため、反対派や腐敗勢力を取り締まっているが、反発が激しく権力闘争やクーデターで退陣する可能性がある」と指摘。その上で、「中国共産党による統治の終盤戦が始まった」と述べた。昨年夏に上海株式市場が暴落すると、中国崩壊論が再び強まった。
一方、中国が米国主導の経済覇権に対抗し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立すると、ロイター通信は「歴史学者が2015年を中国が第2次世界大戦以降、金融秩序を先導していた米国を抑え、主導権を握り始めた瞬間として記録するかもしれない」と評した。人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)を構成する5通貨に入った際も「中国台頭論」が力を得た。わずか1年で中国の興亡に関する分析が極端に分かれた形だ。
過去30年間、中国崩壊論はおおむね3回浮上した。1989年の天安門事件は「政治崩壊論」の引き金となった。天安門事件は強制的に鎮圧されたが、民主化要求が全国的に高まり、共産党に寄る独裁が終わるという主張だった。しかし、中国には当時も今も共産党に対抗し得る政治勢力は存在しない。
97年のアジア通貨危機当時には「経済崩壊論」が流行した。当時中国も為替相場に苦労したが、人民元を切り下げないという約束を守り、周辺国の信頼を得た。2008年の世界的な金融危機以降には「社会崩壊論」が注目を集めた。ますます広がる所得格差と民族対立、労働紛争などが中国社会の根底を揺るがすという主張だ。現在中国は労働者の賃金や福祉を改善するアメとデモを強硬に鎮圧するムチで危機を管理している。