脱マンネリを掲げながら目立ったマンネリ…最低視聴率の紅白を斬る
午後7時15分からの第1部も34・8%で、前年から0・3ポイント減。2部の39・2%は、04年の39・3%を下回り過去最低となった。裏番組との兼ね合いや視聴方法の変化も要因にあるが、多くの音楽関係者は「脱却したはずのマンネリが別の角度から出た」と指摘する。
13年に北島三郎(79)、昨年は森進一(68)が卒業。新たに三山ひろし(35)、山内惠介(32)を起用するなど、演歌の出演者の年齢の若返りを図っているが、演出では過去に見たようなものが目についた。
連続テレビ小説「あさが来た」の特別編は、13年に好評だった「あまちゃん」コーナーを思い起こさせる作りで、民放の人気アニメのキャラクターを担ぎ出した特別企画「アニメ紅白」では一昨年に好評だった「妖怪ウォッチ」が再び登場。「過去に視聴者にウケた企画を焼き直ししたように見えた」という声がNHK関係者からも漏れた。
構成にも疑問の声が上がった。音楽関係者は「出演者によって歌う時間や曲数が異なっていた。時間が少なく、聴く側も消化不良の歌手もいた。どういう基準で決めているのか」と首をかしげた。音楽市場アナリストの臼井孝さんは「若者に人気のアーティストが早い時間に出てしまい、終盤は“安全”な懐メロばかり。生放送ならではの驚きがない」と辛口評価。
「出演者の持ち味が引き出しきれず、面白さが半減した」との見方もある。時間の制約からか、総合司会の黒柳徹子(82)が目玉であったはずのマシンガントークを発揮できる場もなかった。音楽関係者は「わくわく感に乏しかった」と語った。