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イラク政府軍がラマディ勝利宣言 IS抵抗は続く
12月28日 19時06分

イラク政府軍がラマディ勝利宣言 IS抵抗は続く
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過激派組織IS=イスラミックステートとの戦闘を続けるイラク政府軍は、ことし5月からISに支配されていた都市ラマディで中心部の拠点を制圧し、「戦いに勝利した」と宣言しました。ラマディを完全に奪還できれば、政府軍にとって大きな成果となりますが、ISの抵抗は続いており、全域の奪還にはなお時間がかかるとの見方も出ています。
イラク政府軍は今月、過激派組織ISに支配された西部アンバール県の拠点都市、ラマディを奪還するための総攻撃に乗り出し、地方政府の庁舎周辺に立てこもるISとの間で激しい戦闘を続けてきました。
この軍事作戦について、イラク政府軍の報道官は27日、「ISは敗走し、われわれは勝利した」と述べ、ラマディ中心部の拠点を制圧し、全域の奪還に向けて、楽観的な見通しを示しました。一方、ISの戦闘員はラマディ市内の各地に逃げ込み今も抵抗を続けているほか、爆弾を仕掛けているもようで、ラマディ全域の奪還にはなお時間がかかるとの見方も出ています。
ラマディは、首都バグダッドの西およそ100キロにある拠点都市で、ことし5月からISに支配されていましたが、シリア国境とバグダッドをつなぐ幹線道路に面した交通の要衝であるため、軍事作戦上、極めて重要な場所と位置づけられています。このため、政府軍がラマディを完全に奪還できれば、ISとの戦いを進める政府軍にとっては大きな成果となり、ISの支配が続くほかの都市での作戦に大きな影響を与えるものとみられます。

モスル奪回も視野に

今回、政府軍が奪還に近づいているとみられるラマディでは、政府軍と共にISと同じ宗派のスンニ派の義勇兵で作る部隊が作戦に参加し、ラマディの周囲からじわじわとISを追い詰める作戦を続けてきました。また、アメリカ軍などの有志連合の空爆もISの補給ルートを絶って地上軍の攻勢を助ける形となりました。ラマディ全域が奪還できれば、イラク政府にとってことし3月に北部の都市ティクリットを奪還して以来の最大の軍事的な成果となります。

イラクのアバディ首相は、拠点都市のラマディを完全に奪還したうえで、去年6月からISに支配されているイラク第二の都市モスルの奪還を目指す方針を示しています。しかし、ラマディと同様にモスルでも、ISの戦闘員たちは、市街地で住民に紛れて潜伏しているため、掃討作戦は容易ではないとみられます。また、イラクで異なる宗派や民族の間の対立が続くなか、奪還作戦にどの部隊が参加するのか調整がついていないため、モスル奪還の作戦は依然見通せない状況です。

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