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日韓合意で専門家 一定の評価も「予断許さず」12月28日 19時03分
慰安婦問題を巡る日韓両政府の合意について、専門家は一定の評価をする一方で、韓国の世論を考えると予断を許さず、今後を見守る必要があるなどと指摘しています。
「前進も拠出金の位置づけ不明確」
元慰安婦の女性に「償い金」などを支払ってきた「アジア女性基金」の元専務理事で、東京大学名誉教授の和田春樹さんは「日本政府の責任を認めた点やアジア女性基金の際の謝罪では、『道義的責任』としたことばから『道義的』を取った点は前進だと思う」と一定の評価をしています。しかし、日本政府が拠出する10億円の位置づけが明確になっていないとしたうえで「謝罪の意思は元慰安婦に直接伝えられるべきだが、きょうの発表ではその方法が定かではなかった。さらに話を詰めて、元慰安婦の心に沿うような形で解決してほしい」と指摘しています。
「韓国世論の納得期待も拘束力に疑問」
現代史の研究家で、日本大学の元教授の秦郁彦さんは「日韓新時代というスローガンのもとで、韓国の世論も納得して慰安婦問題についてはこの辺で打ち切ろうというムードになることを期待したい」と話しています。そのうえで、秦さんは「韓国政府に対してどこまで拘束力があるのか疑問が残る。日本政府が合意した内容を着実に実施することが前提となっているが、韓国政府が『日本側の対応に満足できない』などと言って逃げ口上に使う可能性も否定できず、今後の展開を見守る必要がある」などと指摘しています。
「大変踏み込んだ合意も予断許さず」
2回にわたる日韓共同の歴史研究に関わった神戸大学教授の木村幹さんは「大変踏み込んだ合意になったと思う。これまで日韓両国の大きな懸案であった慰安婦問題について、『最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する』ということばが使われたことは大変感慨深い」と話しています。一方で、木村さんは「今回の合意が実際に履行されて意味を持つかどうかは、両国の世論にかかっている。特に韓国側の元慰安婦の方々を支援している市民団体の動きは重要で、韓国政府が市民団体を説得して、本当の終息に持って行けるかどうか、また、日本の中でも世論が政府を支援していけるのかどうか、まだまだ予断を許さないと思っている」と指摘しています。