こんにちは、脳筋系の電子書籍まとめサイトきんどう管理人です。1月にKindleの個人電子出版サービス『KDP』を使って、マンガ家さんに自身で電子書籍を売ってもらうというプロジェクトを進めています。
今回は、そちらを進めて考えたことや、また参加者のおひとり なかせよしみさんが冬コミの新刊で本企画の告知をしてくださってるのでそちらの紹介をしようかなと。(31日 東3ホールの「ウ−01a」のスペース)
電子書籍市場をさらに加速度的に大きくさせるには個人の参戦が必要、でも個人が出した電子書籍は誰も真剣に売ってくれないんですからクリエイター本人がグロースさせるしかねぇんじゃねぇの、というのがわたしの考えです。
今回の記事ではグロースハッカーとしてやってくためにクリエイター自身がユーザーの声に耳を傾けて……がどうこうとか細かいことは書いてません。カッコいい言葉なんで使ってるだけです。今考えてることを踏み込むとそういうことなんだろうなと思ってます。
誰も電子書籍を売ってくれないんだから、クリエイター自身がグロースハッカーになるしかないんじゃね?という話
えーまー、ここで改めて立場を繰り返しますが、別にわたしは使命感に燃えてるというわけでもなく、生活のために電子書籍がブレイクしてくれないと困るのです。あと、前も書きましたが面白くない。
このまま出版社だけか、スペシャルな才能をもった一部の作家さんが電子書籍で散発的に成功する程度では市場として遠くないうちに終わると思うので、もっとこう予想もつかないようなスゴイキラキラしたものが現れてカオスな状況を生み出して欲しいんです。
もっと言うと、よくわからないセミナーや謎の健康法や、スピリチュアルなデジタルオンリー作品ばかりを見るのはツライ。極稀に「オォォッ」という作品がストアに並んでも話題になることなく埋もれてくのも切ない。
もちろんわたしだってサイトで取り上げますよ、スゴイと思うとインタビュー記事も掲載しますけど、それが効果を持つのは3日程度なんですよ。検索エンジンにひっかからないので、過去記事は基本見られないんです。
ただ、わたしに限らず誰かが話題にするというのは一過性なんですよね。やっぱ継続的に話題を作っていくためにはクリエイター本人にプロモーション力が必要と思うんですよ。
誰も個人が作った電子書籍を売ってくれないから個人出版電子市場が成長しない。なら、それをグロースさせる人材を作らないといけない。でも、それは電子書籍ストアが用意するもんでも、天才的な個人じゃなくてもいいだろうと。
クリエイター本人にちょっとずつグロースハッカー的能力をもたせて、そんな人材をボコボコ増やし続ければ数の力で市場を作り上げられるんじゃないかなぁと考えています。
電子書籍を盛り上げるために、クリエイターがプロモーションを自分でするという文化の素地を力技でつくる
そのために1月にマンガ家さん自身にKindleで電子書籍を売ってもらって儲けてもらおうと企画を実施してます。やってることは次の2つ
1.『発売日』『テーマ』を揃えることで、グループ感を作る
2.マンガ家さん自身にブログ・Twitterを頑張ってもらう
メディア作りに関しては、とりあえず頑張れ!というのもわけじゃなく、ブログのデザインを整えて、タイトルの付け方や細かい文章の整形をしたり、アクセス解析して「こんな記事書いた方がいい」なんてアドバイスしたり、画像の挿入の仕方や見出しの付け方など操作説明、話題になるようツイートの工夫なんかをマンツーマンで実施してます。
サポートは全部無料で、儲けはマンガ家さんの全取りです。わたしの目的はできる個人を増やして市場を作るなんで、これでいいんです。(ホントは、ちょっとバカなことをしてると思ってる)
ただ、わたしが人に説明すると大抵『なんでそんな偉そうに言うの!!』って怒られるんで、人に教える能力は非常に心許ない……というか、向いてないので……それでもみなさん頑張ってくれてるのでありがたい。
海外の電子書籍は個人市場が牽引してるのって、個人がプロモーションするのが当たり前だからなんじゃね?
さて、Kindleに限らず日本の個人電子出版市場が海外と比べて非常に小さいのは個人のプロモーションって分野が弱すぎるせいなんじゃね?と思ってるんですよね。
よく、日本で電子書籍が普及しないのは宣伝を引き受けるエージェントがいないからだ!という議論もありますが、それだけじゃなくて本人がプロモーションするという文化が無いからかもなぁと思いますね。
あまり詳しいわけではないですが、海外では著者本人がプロモーション行脚するのも当たり前と聞きますし、電子に限らず出版=著者が頑張る という図式なのかも。だから、読者に直接売れる電子書籍で個人出版がブレイクする素地があったのかもしれません。
たとえば、おもなわたしの情報源なんですが、ブロガー向けで有名なのだと
@Problogger http://www.problogger.net/
Bloggingpro http://www.bloggingpro.com/
個人作家向けだと
The Writer Practice http://thewritepractice.com/
Writer's Digest http://www.writersdigest.com/
とかかな。
どうやったらプロの作家になれるか?とか、ノンフィクションを書く方法、わたしのアイデアのつくり方といった実践的な話題が多いんですよね。
日本では本なんかで売ってますが、ネットの記事ではあまり見ないテーマかも。はてなブログで近いところだと100万PVにするためにやったノウハウとかかな。
他にも色々見てるのですが、海外ではこういう話題が活発に世にでていて、実際に電子書籍を売っている作家さんは自身のブログを持っていたりソーシャルメディアを利用しているので……日本でもそんな文化が生まれればもっと早く電子書籍が伸びるかなぁと。
でもまぁ、わたしが話せるノウハウには限界がありますし、それだったらクリエイターさんが弱いブログ、ソーシャルメディアのテクニカルな面を引き受けて情報発信を当たり前にできる人材をどんどん増やして、彼ら自身に気づき・ノウハウを語ってもらう。プロモーションを自分自身でするのが当たり前って空気感を作っていければ面白いんじゃないかなと思うんですよ。
そのために、2016年はクリエイターさんの支援を頑張ろうかなと思います。でも、あと10人増えると管理の限界を超えるので、なんか仕組み化しないと無理かもなぁ……。FacebookグループかLINEグループですかね?アイデアある方がいらっしゃれば是非おチラを添えて頂けると喜びます。
最後に、本企画にご興味をお持ちい頂いたマンガ家さんへ。1月の餅への参加は時間的に難しいと思うので、是非3月のラーメンで是非ご参加ください。お手伝いはしますが、頑張るのはわたしじゃなくクリエイター本人というのが本企画の肝です。よろしくお願いします!
餅マンガ企画に参加中!なかせよしみさんの作品が冬コミで先行発売されます
最終日の12月31日に私、なかせよしみもサークル「まるちぷるCAFE」で東3ホールの「ウ−01a」のスペースに入ります(……)
そんなわけで、この「餅がたり」は年末のコミケ販売の後の明けて2016年1月8日よりKindleにて「99円」で販売します。(他のストアとの連携の都合上、一週間後には価格は100円となります)。紙版発行から電子書籍発行までの期間がいままで一番早いので、なんでしたらコミケでは購入を見合わせて電子で購入するのも一つの手です。あるいは逆に同じ本を電子媒体と紙媒体双方で購入して比較するために、あえて年末のコミケ会場に足を運ぶのも一興かもしれません。
オマケ:最近のハッとさせられた電子書籍関連のツイート
図書カードもらったんで久々に本屋行ったが、お目当ての2冊のラノベ、先月発売のと、今月上旬に発売されたのがもう棚にないんだから、そらネット通販と電子書籍に行ってしまうのも無理ないよなあと思うなど。
— karzusp (@karzusp) 2015, 12月 27
電子書籍については、私にはまだ理屈がよく分かっておりませんので、ご説明が差し上げられません。もちろん出版社と作家には収入になります。 ただ、紙の本しか扱ってない町の本屋さんには、読者さんのご支援が届かないのではと思います。 https://t.co/dluxL19ZEt
— 有川浩 (@arikawahiro0609) 2015, 12月 27
RT言及<「ご主人様は山猫姫」を電子書籍化してくれたおかげで、読みたい人のところに届くことは嬉しい限りです。山猫姫は「アニメにもコミックにもならない」ということで世間の評価が低いそうですが、私が面白いと思うものを全て注ぎ込んだ物語ですので、楽しんで頂ければ幸いです。
— 鷹見一幸 (@takamikazuyuki) 2015, 12月 27
ちなみに私は「ブックオフで買いました」とか言われても全然気になりません。なぜなら紙の本全部絶版だから(爆)電子書籍で買ったと言われれば喜びます。まあ「読みました」言われればどんな形でも嬉しいです。
— 矢野健太郎 (@yanoja) 2015, 12月 23
報告書が来たので今年のつぐもも電子書籍収入が確定。最新16巻の印税を1とした時、2015年の電子収入は2.47冊分だった。2014が1.29冊分で2013が1.24冊分。今年跳ね上がったのはセールによる全巻新規購入が要因と思われ、それが無ければ今年1.5あたりだったと予想。
— 浜田よしかづ@つぐもも16巻10/10売 (@yoshikadu2010) 2015, 12月 25
1は読者の立場で面白いなぁと思った古参ニュースサイトのかーずSPさん。次の有川さんのツイートと非常に対象的でした。
2は『図書館戦争』などの有川浩さん。書店文化を守るためにKindleには配信していません。
3は『宇宙軍士官学校』などSF作家の鷹見一幸さん。過去作が電子化されたことで読者に届くようになったことを喜ばれています。
4は『アオイホノオ』で脚光を浴びた(笑)ベテランマンガ家の矢野健太郎さん。最近、ラミアシリーズが電子化されて積極的に紹介されています。
5は『つぐもも』が絶好調な浜田よしかづさん。紙に対して電子書籍がかなりの割合を占めるようになったようですね。
なんというか、悲喜こもごもですねェ。わたしは電子書籍推進派ですが、有川さんの考えも理解できます。ただ、書店文化を作るのは書店ですけれど、読み手がそこにいないとなぁ……なんて。この辺も掘り下げると面白そうですが、上手く言葉にできないや。