米シェール企業の生き残り策尽きる恐れ-OPECの圧力強化で
2015/12/28 10:40 JST
(ブルームバーグ):原油価格が今年1バレル=50ドル近辺だった時期に米国のシェール層地帯に点在していた水圧破砕関連設備の一部が姿を消した。原油の50%の値下がりに対応するため、シェール業界は作業員数千人を解雇したほか、大規模油井にのみ重点を置いてリグ(掘削装置)を稼働し、各油井からの原油生産を最大限に増やすため最新技術を採用した。
驚いたことに、これらの取り組みはおおかた功を奏した。米国の原油生産は今月時点で43年ぶりの高水準まで4%以内にとどまっている。問題は、原油価格はもはや50ドル近辺ではなく、35ドル近辺で推移しているということだ。
既に限界までコストを切り詰めていた業界にとって、原油価格のさらなる下落は壊滅的な打撃となっている。ウッド・マッケンジー(ヒューストン)の上流(開発・生産)担当シニアアナリスト、R・T・デュークス氏はこれらのシェール層掘削会社について、「原油価格が30ドル台の環境を生き残れるような態勢にはなっていない」と指摘する。
米エネルギー情報局(EIA)は、米国のシェール層で操業している企業が来年、生産を過去最大の日量計57万バレル削減すると予想している。これはまさに、米シェール業界が石油輸出国機構(OPEC)の思惑通りに降参したような状況だ。OPECは世界市場に原油を大量に供給して価格を押し下げ、高コスト生産者を圧迫している。この戦略はリスクが高い。戦略の成功は最終的に、OPEC加盟国にとっての財政的負担が大きくなり過ぎないうちに、シェール企業が淘汰(とうた)されるかどうかにかかっているからだ。
米サムソン・リソーシズやマグナム・ハンター・リソーシズなどの掘削会社は既に、連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適用を申請している。
原題:Shale’s Running Out of Survival Tricks as OPEC Ramps Up Pressure(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ヒューストン Dan Murtaugh dmurtaugh@bloomberg.net
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更新日時: 2015/12/28 10:40 JST