ダウンタウンなう お騒がせ有名人出演の裏側を番組P明かす
ダウンタウンがお騒がせ芸能人に直撃するコーナー『本音でハシゴ酒』が話題の『ダウンタウンなう』(フジテレビ系、毎週金曜夜7時54分〜)。芸能マスコミも注目する異色のトークバラエティーは、いったいどのように作られているのか。プロデューサーの松本祐紀さんに制作現場の裏側を尋ねた。
――もともと「ほぼ生放送(5分遅れのディレイ放送)」が売りの『ダウンタウンなう』でしたが、今はロケの『本音ではしご酒』がメーンになっています。『ハシゴ酒』シリーズの企画はどのようにして生まれたのですか?
松本:『ダウンタウンなう』の前に放送されていた『教訓のススメ』の最終回で、『坂上忍プレゼンツ 真っ昼間からハシゴ酒のススメ』というコーナーをやりました。文字通りダウンタウンと坂上忍さんが昼間から酒を飲むという企画です。この時、途中で指原莉乃さんや高橋ジョージさんがゲストとして入ってきたのですが、離婚騒動の渦中にある高橋ジョージさんにダウンタウンさんと坂上さんが切り込んでいく内容が好評だったので、『ダウンタウンなう』の8月のスペシャル企画としてやってみようということになりました。
すると番組視聴率が11.2%を記録しました。実はフジテレビの金曜夜8時台というのは視聴率の面でずっと苦戦していて、11%を超えたのは久しぶりだったんです。放送後はネットニュースでも話題になったので、「これはもしや、いけるんじゃないか?」という手応えがありました。
――もうディレイ放送には戻らない?
松本:戻らないですね(笑い)。
――8月のスペシャルでは、B21スペシャル、清原和博さん、加護亜依さん。その後も朝青龍さんや元オセロの中島知子さんなど、世間を騒がせた人が続々と登場しています。毎回これだけのゲストに出演してもらうのは大変かと思います。
松本:最初はスペシャルで1回だけというつもりでした。お酒を飲みながら、大変な人の大変な悩みを聞かないといけないので、ダウンタウンの二人も相当なカロリーを消費します。だからこのコーナーを定期的にやるにあたっては、二人を説得するところから始まりました。「これ毎回やるもんちゃうよな」という空気があったので、最初は“だましだまし”でしたけど(笑い)。「あれ、この番組ロケになったんやっけ?」と言われることもありました。目下の悩みは、最初のスペシャルでかなり濃い3組に出てもらったので、ゲストのハードルが上がったしまったことです。
――これまで出演NGの方はいました?
松本:ほとんどがNGです。20組あたって1組くらいしかOKはいただけておりません。でも逆に、「ハシゴ酒なら出ます」と言ってくれる方もいるんです。まだ公にはできませんが、今もっともワイドショーを賑わせている人とも話が進んでいます。ゲストをキャスティングする際の基準としては、一つは「この人の話を聞きたいな」という明確なトピックがあること。もう一つは、「ダウンタウンとしゃべっているのを見たことないけど、見てみたい人」。綾小路きみまろさんの時に名前の出てきた立川志の輔さんは、ぜひお招きしたい方のうちの一人です。あとは妄想レベルですけど、橋下徹元大阪市長。ダウンタウンの二人も関西出身なので、大阪都構想について議論するところは見てみたいな、と。
――アンタッチャブルの柴田英嗣さんが登場した時は、「実は逮捕されていた」という告白が話題を集めました。テロップでは「逮捕ではなく事情聴取」と出ていましたけど、あの話題に触れることについて事務所も本人も承諾済みだったんですか?
松本:いいえ。事前の打合せでは、その話は一切できないと言われていたんです。だから制作側としては、相方のザキヤマ(山崎弘也)さんに対してどういう思いを抱いているのかということを掘り下げていこうと思っていました。でもダウンタウンと坂上さんに挟まれると物凄いプレッシャーなんでしょうね。浜田さんから「何で休んでたん?」と言われて、柴田さんも何か面白いことを言わないといけなくなった。
実際には逮捕ではなく事情聴取だったんですけど、逮捕されたと言っちゃったほうがわかりやすいし盛り上がると考えてくれたのでしょう。腕のある柴田さんがリップサービスで言ってくれたんだ、と思っています。ただ、事実と違ったことをそのまま放送はできないので、事務所と確認をしたうえで、事情聴取だったというテロップを入れました。
――『ハシゴ酒』内での坂上さんの役割というのは?
松本:制作側として切り込んでほしい話は、ダウンタウンではなく坂上さんに事前にお願いしています。坂上さんがある程度コントロールしながら、ダウンタウンには自由に入ってもらう。普通はあの距離感でダウンタウンにはなかなか近づけませんが、芸歴はダウンタウンよりも長い坂上さんなら、まあ仕方ないという空気もあります。両者の距離感が絶妙だから、次の店に行く道中でも話が盛り上がります。
――飲み屋では一軒あたりどれくらいの時間、カメラを回していますか?
松本:だいたい目安としては40分くらい。そのうち放送するのは平均で20分くらいです。短いと7〜8分ですが、綾小路きみまろさんの時は1時間10分くらいしゃべってもらって60分弱も使いました。
――スキャンダラスな話を持っている人が多い中で、綾小路きみまろさんは、昔の騒動以外はほとんどが芸人論のような話でしたね。
松本:芸人同士のマニアックな話は視聴者向けには難しいかなと思っていたんですけど、「これは断トツに面白いはずだ!」と思って尺を取りました。「こんな話、他では聞けないぞ」と。現場にいても面白かったので、ほとんどカットせずに放送しました。きみまろさんの時も視聴率は2桁に乗りましたし、スキャンダラスでなくても面白い話は面白いんだという自信が持てるようになりましたね。
◇『ダウンタウンなう』
ダウンタウンと坂上忍が話題の芸能人に切り込んでいく『本音でハシゴ酒』シリーズが人気のトーク番組。これまで清原和博、加護亜依、綾小路きみまろ、朝青龍など、多彩なゲストが出演し、他では話していないことを次々に話した。新年1月8日夜7時からの2時間スペシャルには、注目のゲストが多数出演する。